オラファー・エリアソンは、1967年デンマーク生まれのアイスランド人で、現在はベルリンで制作活動をしています。1993年に発表した、人工的に発生させた霧を用いて虹を出現させたインスタレーション「Beauty」で高く評価され、以来常に国際的に注目を浴びながら、近年ますます精力的に発表を続けています。日本では、展覧会期を延長するまで大好評を博した、今春の原美術館での個展「影の光」も記憶に新しいことでしょう。
エリアソンは、ごくシンプルな装置で人工的に自然現象を出現させ、ドラマティックなほどに空間を変容させるインスタレーションで知られています。エリアソンがモチーフとしている自然現象は、文化背景や世代を問わず共通して経験しており、かつその経験に基づいて人それぞれオリジナルな認識を持っているものです。エリアソンは過去のインタビューで「見る人が人工的に操作された視覚に気づいて、自分たちが見ているものが真実かどうか懐疑的になってほしい」と語っています。「結局、不変なものなどないのだ」というエリアソンのメッセージをこめた本展で、あなたは、光や色といった不定形のものを体感しながら、やがて個人的経験に基づいた意識の再考へと促されることでしょう。
本展では、日光を利用したカレイドスコープ型のインスタレーションや、ランプ型のインスタレーション、写真作品、現在進行中のプロジェクトのサンプルなど、日本では初公開となる近新作8点を出品いたします。この機会にぜひご来廊下さい。
[Olafur Eliasson "Kaleidoscope with camera obscura", 2006]
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