泉屋博古館東京本展では館蔵の住友コレクションより、古代から近世にかけての日本書跡を紹介します。
コレクションを代表するのが、平安貴族の繊細な美意識によって完成されたかなの作品です。その白眉とも称される「寸松庵色紙」をはじめ、料紙装飾も美しい歌切、歌人の絵姿と代表歌を合わせた歌仙絵切、歌会でしたためた和歌懐紙など、平安時代後期から鎌倉時代にかけて高揚し変化した能書による和歌の造形をみることができます。そこではきわめて繊細な線と多様な技巧が、限られた料紙の空間、三十一文字の歌の世界に無限の変化を与えています。
本来、巻物や冊子の一部であったこれらの多くは桃山から江戸時代前期に切断され、手鑑や掛幅などに改装されました。天皇から貴族、大名、僧侶に芸術家—階層を越え交流したこの時期の教養人たちは、雅びな王朝文化に憧れを持ち、これらを「古筆」として尊重、そして古典を新しい感覚で消化した個性的な書を残しています。さらに中国から新たに渡来した書法の影響を受け、江戸時代の書は和様、唐様ともに多彩に展開しました。彼ら雅人たちの作品からは闊達な時代の空気を読み取ることができるでしょう。
また今回東京初公開となる「古筆手鑑」は、奈良時代から江戸時代の能書を集めたもので、書道史・文学史上貴重な資料をふくみ、関係者からも注目されています。
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