岡本太郎記念館抽象度の高い造形と激しい原色の色使い。裸婦もなければ静物もない。岡本太郎は写実的な絵は描かなかった。それが岡本絵画に対する一般的なイメージだろう。もちろんぼくもそうだった。戦時中や親族知人のデスマスクなど、特殊なケースを除いて太郎に写実画は存在しない。そう考えていた。実際、敏子も「岡本太郎に自画像はない」と言っていたのだ。
だが昨年、目を見張るデッサンがひょっこり出てきた。明らかに上野毛時代の太郎と敏子だ。敏子さえ忘れていた60年前の、そしておそらく唯ひとつの自画像。そして彼女を知る者ほどその描写力に驚く若き日の敏子。いずれも岡本絵画のイメージとは真逆の、静かでやさしい表情をたたえている。
本展はそうした身近な人の表情を書き留めた写実的な絵を一堂に会したものだ。人に見せるために描いたものはない。ここにはぼくたちの知らなかったもうひとりの太郎がいる。まぎれもなくそれも太郎なのだ。
岡本太郎記念館 館長 平野暁臣
ギャラリートーク(※予約不要)
館内展示作品解説を交え、岡本太郎の魅力をたどっていきます。(15分~20分程のご案内になります)
7月6日(水)、8月10日(水)、9月21日(水)、10月5日(水)各日14:00-
[画像: 「岡本敏子」1950年頃 紙とペン]
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