山種美術館「昭和の国民画家」と称され、日本各地の自然と風景を詩情豊かに描き続けた日本画家・東山魁夷(1908-1999)。その没後15年を記念し、当館では「日本の四季」をテーマに、魁夷の画業を師や仲間の作品とともに振り返る展覧会を開催いたします。風景画家としてスタートを切った昭和20年代以降、「樹根」(目黒区美術館)や「白い壁」(山種美術館)のようにユニークな構図と造形美で風景を描き、新しい時代の日本画に挑戦していた魁夷は、日本のみならずヨーロッパを遍歴して各地を描き続けました。やがて昭和40年代には、東宮御所と皇居宮殿の二つの壁画制作、および作家・川端康成の言葉をきっかけに着手した「京洛四季」の連作を通して、その意識は繊細な日本の四季の移ろいと自然美の伝統的な表現へと回帰していきます。なかでも、昭和43年に新築された皇居宮殿のために描かれた「朝明けの潮」(宮内庁)は、日本の伝統的なやまと絵に見られる自然美と装飾美を併せ持った作品として高い評価を得、当時、この作品を目にする機会を得た当館初代館長の山﨑種二の心をとらえました。種二は、宮殿の絵画をひろく人々が鑑賞することができるようにと、同趣作品の制作を直接画家たちに依頼しました。こうして、揮毫された全長9メートルに及ぶ魁夷の「満ち来る潮」をはじめ、橋本明治「朝陽桜」、上村松篁「日本の鳥・日本の花」などの作品群は、現在では山種コレクションの中でも重要な位置をしめています。本展では、これら皇居宮殿ゆかりの絵画の一挙公開に加え、「京洛四季」連作の「年暮る」(山種美術館)、「夏に入る」(市川市東山魁夷記念館)、「北山初雪」(川端康成記念会)、さらには白い馬が象徴的な「春を呼ぶ丘」(長谷川町子美術館)など日本各地を描いた魁夷の代表作を集めて展示します。また、魁夷に風景と向き合う姿勢を教えた師である川合玉堂や結城素明、ともに研鑽を積んだ東京美術学校の同窓生・山田申吾や加藤栄三らの作品もあわせて展示し、魁夷が辿ってきた画業の道程をより広い見地からご覧いただきます。
※会期中、一部展示替えあり。
前期: 11月22日(土)~12月21日(日)
後期: 12月23日(火・祝)~2月1日(日)
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