公開日:2007年7月2日

55DSL Junior Lucky Bastardsとのインタビュー

2006年、55DSLは新しい職種を発明。その名も“Junior Lucky Bastard”、訳して「超ラッキー野郎」。仕事の内容?55日間世界中を旅し、そのすべてをビデオ・ブログ・写真に収めること! めでたくJLBとして選ばれたロブ・ユング(UK)とジェレミー・オンジェリエ(フランス)は7月から旅をスタートし、先週遂に来日した。2人のバタバタな5日間の合間を縫って、これまでの旅について話を聞いてみた。

日本に来てからどんな事をした?

ロブ:もう頭の中がゴチャゴチャだよ……。
ジェレミー:飛行機から降りてすぐ、お刺身を体に乗せた裸の女性(※)がいる部屋に連れていかれ、早速新鮮な魚を堪能。次の日は相撲取りと取っ組み合いをしてからチャンコ鍋をご馳走になり、お寺を見て、大勢の女の子がいるパーティーで夜を明かした。あと、秋葉原でメイドに出会ったり、マンガカフェにも行ったよ。
(※)女体盛り

これまでイタリア、コスタリカ共和国、アメリカの東と西海岸、そしてアイスランドを旅したそうだけど、東京とはビジュアル的にかなり違うだろうね。

ジェレミー:そうだね、様々な地形や建築物を見てきたよ。アイスランドなんて、広大な地にクレーターがボコボコあって、まるで月面だった。それに対してニューヨークは高層ビルの世界って感じだし。東京はね……簡単に言えばニューヨークを2倍にして、デカいスポットライトを当てたようなものかな。
ロブ:ニューヨークと東京は基本的に凄く似てるんだけど、街を歩いていると全く印象が違う。特に夕方から夜にかけて、東京はネオン街になる。ホント、光と色がスゴイよ! 例えばタクシーだって、色とりどりでしょ? しかも日本特有のあの透明な傘にネオンが反射すると、更に鮮やかさが増す。東京はビジュアル的に刺激的な街だ。
ジェレミー:そういえば空港から高速道路を走ってる時、まるでカーレースのビデオゲームの中にいる気分だった。ほら、設定が2030年の未来都市のゲームとか、よくあるだろ?

東京は未来都市っぽいって事?

ロブ:いや、実は想像したほど未来的じゃなかった。あ、でも水が吹き出るジェット式トイレがあるよね、あれイイよ! 日本にはそんな感じの電子機器がもっとたくさんあるのかと思ってた。もしかしたら他の国が技術的に追いついてきたのかもね。

ジェレミーは店内で流れる音に驚いたらしいね。

ジェレミー:今回、最も印象に残ったのが東京の‘音’だと思う。こんなの初めてだよ。道端でマイクを通して叫んでる人がいたり……
ロブ:ビルの上の巨大スクリーンだってスピーカーついてるよね! あれは東京だけだよ。
ジェレミー:交通音、売り子の声、道行く人の会話……凄く日常的な、平凡な音がミックスされてるんだけど、なぜか凄く独特なんだ。日本語がわからないからかな?

今まで旅してきた中で、東京と最も対照的な場所は?

ロブ:アイスランドのレイキャビク。人けが全然無いんだ。2時間ドライブして、車1台見なかったよ。建物どころか、木さえ無い。昔、先の事を考えずに木を全部切っちゃったおかげで、今は木が全く生えない土地になってしまったらしいんだ。ちなみにオレたちが行く数日前にシガー・ロスが無料コンサートをやったらしい。見れなくてホント残念!

毎日ウェブサイト用にビデオや写真を撮ってるらしいね。
ロブ:
そう、夜に目を通すんだけど、爆笑ものだよ!
ジェレミー:実は今作業が遅れてて、1つ前の国の編集をまだ終えてない。各国2,3日しか滞在しなくて、「ありがとう」って言えるようになった途端、次の場所へ移動。そんな中、前の国のビデオを編集してるとくると、さすがに頭の中は混乱状態だよ。きっと編集の仕方にも影響してくるんじゃないかな……ほら、例えば今日は凄く‘日本っぽい’1日を過ごしたとする。で、同じ日にアメリカの映像を編集するとなったら、やっぱりアメリカにいる時にやるのとは一味違った仕上がりになるんだろうね。

ビデオを回す時に気をつける事は?

ジェレミー:録画し始める前になるべく仕上がりの映像を先に考えておくようにしてる。でないと、膨大な量の映像を編集することになるからね。あと、55DSLのウェブサイトは世界中の人が見るから、なるべくジョークとかは誰でもわかるように心がけてるよ。オレだってロブの冗談がサッパリわからない時だってあるワケだから……
ロブ:英国のジョークは彼にとってレベルが高すぎるんだ!

ジェレミー、普段は映像関係の仕事をしてるそうだけど、今回の旅で何かひらめいたりした?

ジェレミー:実は、偶然にこの仕事に応募する前、旅をテーマにしたドキュメンタリーを幾つか企画してたんだ。だから今回は正に夢が叶ったって感じだね! これが終わったら、この旅で訪れた国にもう1度行き、より深く探っていってドキュメンタリーにしようと思ってる。だから、しいて言えば今回は次のプロジェクトの予告編みたいなものかな。

ロブはグラフィック・デザインを勉強したらしいね。今後の予定は?

ロブ:別にグラフィック系に絞ろうと思ってるわけじゃない。クリエイティブであれば何でもやるよ。イラストレーション、デザイン、何でも……去年卒業したばかりだから、今は考え中ってとこかな。でも今回の旅行で何もかも狂っちゃったよ!

55日間の世界旅行。今3分の1が過ぎた時点だけど、2人の仲はどう?

ジェレミー:朝はロブに話しかけないようにしてる……
ロブ:寝起きが悪いんだ。
ジェレミー:アート面で言うと、お互い違う知識を持ってるからそういう意味では相性が良いと思う。2人で足りない部分を補っていけるし……
ロブ:でもさ、考えてみろよ。ここ6週間、オレたちは毎日24時間一緒にいるんだぜ? それにしてはうまくいってると思うよ!

JLBの2人、ありがとう! 最後まで応援してるよ!

JLBの写真・ビデオ・ブログは55DSLのウェブサイトから:55DSL Junior Lucky Bastards




(和訳:大石礼那)

Lena Oishi

Lena Oishi

日本生まれ、イギリス+オーストラリア育ち。大学院では映画論を勉強。現在はVICEマガジンやアート/メディア関連の翻訳をはじめ、『メトロノーム11号—何をなすべきか?東京』(2007年、精興社)の日本語監修など、フリーランスで翻訳関連の仕事をしている。真っ暗闇の中、アイスクリームを食べながら目が充血するまで映画を観るのが好き。