公開日:2026年7月15日

約400年前、うつわはメッセージを運んでいた。「眼のごちそう 食器」(サントリー美術館)が開幕

重文の蓋物、魚形の向付、刺身を映えさせるガラスの簾。江戸のもてなし上手たちが本気で選んだうつわが一堂に

粉彩桧替皿 景徳鎮窯 清時代/18世紀 野崎家塩業歴史館

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食器は「眼のごちそう」だった。近世のもてなしをたどる

夏の食卓に涼しげな鉢がひとつ加わるだけで、料理を口に運ぶ前から心が弾む。そんな経験は誰にでもあるはずだ。約400年前の日本では、その喜びがすでにもてなしの席に根づいていた。

サントリー美術館(東京・六本木)で「眼のごちそう 食器」が開幕した。会期は8月30日まで。同館の基本理念「生活の中の美」を楽しむ企画として、桃山時代から江戸時代を中心とした陶磁の食器を特集する展覧会だ。

会場風景

華やかな大皿、優雅な鉢、個性的な向付。そのデザインに目を凝らすと、吉祥や季節感、珍しいうつわで客を喜ばせたいという意図など、もてなす側からのメッセージが込められていることに気づく。食器とは、おいしい料理とあいまって客人に深い喜びをもたらす「眼のごちそう」だったのではないか。そんな問いかけが全編を貫く。

担当学芸員の安河内幸絵は、「これだけいろんな焼き物の食器を楽しんできた日本人の、もてなす側、もてなされる側、それぞれの心にまで思いを馳せていただけたら。そんな気持ちでこの展示を作りました」と語る。うつわを通して、人と人が向き合う食卓の情景までもが見えてくる。

左:古染符鹿篤鹵富士山形鉢 景徳鎮窯 明時代/17世紀 個人蔵
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