
粉彩桧替皿 景徳鎮窯 清時代/18世紀 野崎家塩業歴史館
夏の食卓に涼しげな鉢がひとつ加わるだけで、料理を口に運ぶ前から心が弾む。そんな経験は誰にでもあるはずだ。約400年前の日本では、その喜びがすでにもてなしの席に根づいていた。
サントリー美術館(東京・六本木)で「眼のごちそう 食器」が開幕した。会期は8月30日まで。同館の基本理念「生活の中の美」を楽しむ企画として、桃山時代から江戸時代を中心とした陶磁の食器を特集する展覧会だ。

華やかな大皿、優雅な鉢、個性的な向付。そのデザインに目を凝らすと、吉祥や季節感、珍しいうつわで客を喜ばせたいという意図など、もてなす側からのメッセージが込められていることに気づく。食器とは、おいしい料理とあいまって客人に深い喜びをもたらす「眼のごちそう」だったのではないか。そんな問いかけが全編を貫く。
担当学芸員の安河内幸絵は、「これだけいろんな焼き物の食器を楽しんできた日本人の、もてなす側、もてなされる側、それぞれの心にまで思いを馳せていただけたら。そんな気持ちでこの展示を作りました」と語る。うつわを通して、人と人が向き合う食卓の情景までもが見えてくる。
