琵琶湖のほとりで歴史と街とアートが一体となる芸術祭。「BIWAKOビエンナーレ2025」レポート

2025年のテーマは「流転ーFLUX」。歴史を生き抜いてきた近江八幡市の古民家や寺、伝統建築での芸術祭。会期は2025年9月20日〜2025年11月16日 撮影:筆者(撮影クレジットないものすべて) 

江頭誠 毛布製薔薇柄袷着物 撮影:Xin Tahara(編集部)

「BIWAKOビエンナーレ 2025」が開幕した。2001年の初回には、大津市のびわ湖ホール周辺で開催されたが、次回以降は近江八幡市の旧市街に会場を移し、日本唯一の湖の中の有人島・沖島も会場になるなど、規模も拡大している。

この11回目は、2024年の開催予定だったが、万博の年に合わせて1年延期。2024年には中国に向けたPRとして上海で「プレBIWAKOビエンナーレ2025」を行い、国際的な認知を得ることを試みた。

今回のテーマは「流転ーFLUX」。誰もが激変する世界や価値観の奔流に巻き込まれ、流転する運命から避けられないような時代にあって、アートはどうあるべきか。生成と流れをポジティブに表現し、体感させてくれる力強いアートが、歴史を生き抜いてきた近江八幡市の古民家や伝統建築に揃った。

...

初めて会場となった長命寺エリアは、景観も抜群

今回、初めて会場となったのが、西国三十三所第31番札所として知られる長命寺。創建は推古天皇27年(619年)、聖徳太子が開基と伝わる古刹だ。

長命寺本堂 撮影:Xin Tahara(編集部)

高台に位置し、重要文化財の本堂や三重塔がある。歴史ある祈りの場にふさわしいこの会場には、精神性の高い作品が並んだ。

陳見非 提供:BIWAKOビエンナーレ

本堂には、陳見非(チェン・ジエンフェイ)が、千字文のハンコを金と赤で押して塔を描き、祝福を象徴する文字を記した厳かな作品が4点掛けられた。

鐘楼には宇野裕美の《散華》。生命を寿ぐ参加型インスタレーション作品だ。

宇野裕美 散華 提供:BIWAKOビエンナーレ
石川雷太 提供:BIWAKOビエンナーレ

そして石川雷太が、場所と言葉の力を融合させたアートを展示。石川雷太の作品は車で数分の距離にある、369 Terrace Cafe にも展示。眺めのいいカフェで食事やお茶もおすすめだ。琵琶湖の絶景も楽しめる魅力的な会場が加わった。

石川雷太 撮影:Xin Tahara(編集部)

...