「エリック・カール展」(東京都現代美術館、2026)展示風景より、『はらぺこあおむし』(1987年版)表紙 Eric Carle: Art, Books, and the Caterpillar is organized by The Eric Carle Museum of Picture Book Art, Amherst, Massachusetts, United States.
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絵本作家エリック・カール(1929〜2021)の回顧展「エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし」が、東京都現代美術館で開催されている。マサチューセッツ州にあるエリック・カール絵本美術館の所蔵品を中心に、絵本の原画、ダミーブック、初期のポスター作品など約180点が紹介される。会期は4月25日から7月26日まで。


冒頭の第1章「はらぺこあおむしの誕生」は、グラフィックデザイナーだったカールが自ら文章を書いた最初の絵本である『はらぺこあおむし』(1969)に焦点を当てる。あおむしが食べた「穴」を読者が指でなぞり、物語世界に入り込む。本そのものに体験を埋め込むカール独自のスタイルは、すでにこの一冊で確立されていた。当時のアメリカでは穴あき製本に対応できる印刷会社が見つからず、初版の印刷・製本を日本の会社が担当したというエピソードも興味深い。


続いての展示室では、英語タイトルがいずれも「The Very」で始まる虫を主人公とした「五重奏」シリーズ、すなわち『くもさんおへんじどうしたの』(1984)、『だんまりこおろぎ』(1990)、『さびしがりやのほたる』(1995)、『パッチン!とんでコメツキくん』(1999)の貴重な原画が並ぶ。クモの巣を触感で感じさせる特殊印刷、ページを開くと音が出る仕掛け、ホタルが光る演出など、物語世界に読者を引き込む造本上の工夫が、シリーズに通底するカールの思いを示している。

しかし、本展の見どころはカラフルな原画だけではない。様々な言語で出版された『はらぺこあおむし』、あるいは目の見えない人や見えにくい人も楽しめる「触れる」バージョンなど、本という形式に込められたあらゆる仕掛けと工夫を知ることができる。

