展示作は写真、ビデオ、インスタレーション、映画と形態が様々。なかでも、会場内中央に天井から紐で吊り下げられた何冊もの雑誌「COLORS Notebook」の展示は象徴的だ。
これは国境なき医師団との共同による企画で、全ページが白紙の状態の「COLORS Notebook」3000冊が世界各国に送り届けられ、現地のアーティストや一般の人々の書き込みによってできあがった作品。各地からファブリカに送り返された1000冊のノートブックのなかから選ばれたものが展示される。
中国の囚人、南アフリカの子供たち、カナダの聖職者、宇宙飛行士、様々な国の様々な人による自由な書き込みを、来場者が実際に手に取り、ページをめくって観賞できるようになっている。
国境、文化、社会的立場、性別、年齢、タブー、社会的なあらゆる枠組みを超えたところでなされるコミュニケーション。ここに、ファブリカの理念そのものが集約されている。
展覧会の原題「Les Yeux Ouverts」を直訳すれば、「見開かれた目」という意味。固定概念や決まった価値観に捕らわれず“心を開いて”というニュアンスにも読み取れる。来場者が参加できる対話型の展示作は複数あるので、五感をフルに使って体験してみてほしい。