公開日:2021年12月23日

「男らしさ」とファッションの関係とは? 展覧会「Fashioning Masculinities: The Art of Menswear」が英ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で開催

2022年3月より、同館初の男性のファッションをテーマにした大規模展がスタート。パートナーはグッチ。

Chris Steele-Perkins GB. ENGLAND. Bradford. Market Tavern. 1976 © Chris Steele-Perkins/Magnum Photos

イギリス・ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(通称V&A)において、同館初となる男性ファッションをテーマにした大規模展「Fashioning Masculinities: The Art of Menswear」が開催される。会期は2022年3月19日~11月6日。

本展はグッチをパートナーに迎え、ファッションを通してどのように「男らしさ」がかたちづくられてきたのを問い直す。展覧会には、伝説的なデザイナーたちによる現代的なルックに加え、V&Aが所蔵する彫刻と絵画、写真や映像といったコレクションが集結するという。会場は「Undressed」「Overdressed」「Redressed」という3つのセクションによって構成され、100点を超える衣装と美術作品が展示される予定だ。

Joshua Reynolds Portrait of Charles Coote, 1st Earl of Bellamont (1738-1800), in Robes of the Order of the Bath 1773-1774 © National Gallery of Ireland
Harris Reed Fluid Romanticism 001 Courtesy of Harris Reed Photo: Giovanni Corabi

まず、「Undressed」では、男性用下着と身体の関係性を通じ、ヨーロッパにおいて古典的な男性像がどのように構築されてきたのかを探る。続く「Overdressed」においては、上流階級の男性ファッションを中心に、「男らしさ」をめぐる観念とその変化を歴史的にひもといていく。最後の「Redressed」では、イギリスの伝統的なテーラリングや軍服から現代のファッションデザインまで、多様な男性ファッションのあり方を紹介する。

Omar Victor Diop Jean-Baptiste Belley 2014 Pigment inkjet print on Harman by Hahnemühle paper Courtesy of MAGNIN-A Gallery, Paris © Omar Victor Diop

ファッションの展覧会と聞くと、どうしても女性用の煌びやかなドレスやハイヒールが思い浮かぶかもしれない。しかし歴史を振り返ってみれば、男性たちこそが華美に装い、創意工夫に満ちた衣装を纏っていた事実が浮かび上がってくる。

「Fashioning Masculinities: The Art of Menswear」は、ファッションを通じて「男らしさ」の体現と克服に真正面からアプローチした貴重な展覧会となりそうだ。

Anthony Patrick Manieri Nude 1, London, England, April 2016 © Anthony Patrick Manieri
New Adventures, Spitfire - an advertisement divertissement Director & Choreographer Matthew Bourne Costume Designer:Lez Brotherston Associate Artistic Director:Etta Murfitt Dancers:Will Bozier, Harrison Dowzell, Glenn Graham, Andrew Monaghan, Liam Mower, Dominic North Featured in Dancing Nation by Sadler’s Wells & BBC Arts, January 2021 Photo: Kaasam Aziz
CRAIG GREEN SS21 Photo by Amy Gwatkin
Alessandro Michele for Gucci. Look 7 FW 2015 Courtesy of Gucci
Sam Smith Photo by Alasdair McLellan, Hertfordshire, June 16, 2020  Stylist:Ben Reardon Styling Assistant:Niccolo Torelli Hair:Anthony Turner Make-up:Anne Sofie Costa Photography assistance:Lex Kembery and Simon Mackinlay

齋木優城

齋木優城

齋木優城 キュレーター/リサーチャー。東京藝術大学大学院美術研究科芸術学専攻修士課程修了後、 Goldsmiths, University of London MA in Contemporary Art Theory修了。現在はロンドンに拠点を移し、研究活動を続ける。