年間4回の企画展が行われており4月17日~6月14日まではフランス服飾史の250年を紹介する「フランス・モード」展が開催。マリー・アントワネットが生きた18世紀のロココ・スタイルから、現代のパリ・コレクションまでの変遷が見られる。
ドレスが貴族階級に限らず市民層にまで広まりはじめるのは19世紀中ごろのこと。ミシンの普及で大量生産が可能になったことや、それまでになかったデパートが誕生したことによって商品の概念ががらりと変わる。19世紀末から20世紀初頭にかけては今のパリ・コレクションの基礎となるオート・クチュールが登場。社会の近代化や、スポーツの流行に伴ってドレスには機能性が求められるようになり、動きやすいデザインへと変わっていく。
余談になるが、フランスにはお風呂に入る習慣も19世紀中ごろまでなかったというのはご存じだろうか。それは上下水道が完備されていなかったからであるが、国王のルイ16世でさえ年に1度濡れタオルで体をふく程度だったそう。大抵の人が一度も体を洗わぬまま一生を終えたのだという。豪華で可憐な見た目のドレスも、においのほうは果たして…。
服飾デザインは時代や社会を表象する記号といえるもの。特にスカートのフォルムは時代ごとの変化が顕著で、膨らんだりしぼんだり、丈が短くなったりしていく。その変化ひとつひとつに、時代背景との関係を見つけてみるのは面白い。みなさんも館内プラカードの時代説明をじっくり読みながら順路を進んでみてください。