会場風景
青森の弘前れんが倉庫美術館で、現代日本を代表する画家・杉戸洋の個展「杉戸洋展:えりとへり / flyleaf and liner」が開催されている。会期は2026年5月17日まで。
本展は「ニュー・ユートピア──わたしたちがつくる新しい生態系」展に続く、同館の開館5周年記念展覧会の第2弾。愛知県に生まれ、同県にアトリエを構える杉戸は、一見弘前との接点がなさそうに見える。しかし実際には、弘前出身の奈良美智と学生時代から親交があるという。美大を目指していた杉戸は、愛知県立芸術大学に通いながら美術予備校で講師をしていた奈良と出会った。2004年にふたりはオーストリア・ウィーンでともに滞在制作を行い、2006年には美術館になる前の煉瓦倉庫で開催された「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」展に杉戸も参加。以来、同館では杉戸の展覧会開催を構想してきた。

興味深いのは、展示冒頭を飾る煉瓦倉庫の建物を思わせる1994年の作品だ。所蔵者は奈良美智。杉戸の初期作品が長年の友人のコレクションに収まり、その友人の出身地で展示されるという巡り合わせが、まさに杉戸と弘前の縁を象徴している。
