Asian Black Head 2025
マルタン・マルジェラの個展「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」が、東京・九段下の九段ハウスで開幕した。会期は4月11日〜29日。
1957年ベルギー生まれのマルタン・マルジェラは、1988年にジェニー・メレンズとともにパリで「メゾン マルタン マルジェラ」を設立。1997〜2003年にはエルメスのウィメンズ クリエイティブ・ディレクターも務め、2008年の20周年ショーを機にファッション界を離れた。以降はヴィジュアルアートの制作に専念し、人間の身体を重要なインスピレーション源としながら、「再利用・分解・変容」といったテーマの探究を続けている。2021年にはパリで初個展を開催した。
本展はマルジェラにとって日本初の大規模個展。コラージュ、絵画、デッサン、彫刻、アサンブラージュ、映像など多様な技法を用いた、2011年から2025年にかけての作品群が一堂に会する。会場は、旧山口萬吉邸として知られる1927年竣工の登録有形文化財「九段ハウス」。生活の痕跡が刻まれた古い邸宅での展示は、マルジェラが大切にするプライバシーの空気感を体現している。展示構成とキュレーションはすべてマルジェラ自身よって手がけられた。
本展主催の原田崇人(rin art association)は、「マルジェラの作品は物事の見方を変えてくれるという性質がある」と語り、本展を鑑賞するうえでの重要な概念として「執着(オブセッション)」と「世界は仮固定である(という見方)」を挙げる。
前者については、作家がたびたび素材やモチーフとして用いる髪の毛への「執着」が象徴的だ。後者は、世界が絶えず変化し続け、無常であるという考え方である。マルジェラは作品に決まった展示方法を設けておらず、床に置かれたり箱に収められたりと、状況に応じて様々な形態をとる。本展では壁や家具、窓などが薄いビニールシートで覆われているが、これはすべてが「ワーク・イン・プログレス」であることを示唆している。