公開日:2025年9月4日

「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989–2010」(国立新美術館)開幕レポート。村上隆、奈良美智、森村泰昌、大竹伸朗ら日本現代美術を代表する作家が勢ぞろい

香港M+と国立新美術館、ふたつの美術館が見つめる1989〜2010年の日本美術。会期は9月3日〜12月8日

会場風景より、手前は椿昇《エステティック・ポリューション》(1990) 

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日本発のアートが映し出す激動の20年

1989年という転換点から2010年までの約20年間に日本で生まれた美術表現を包括的にとらえる「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989–2010」展が、国立新美術館で開幕した。アジアを代表する美術館である香港M+との共同キュレーションによる本展は、約20年間の日本発のアート表現を5つの章で紹介する。会期は9月3日から12月8日まで。

注目すべきは展覧会タイトルが「日本現代美術」ではなく「日本で生まれた美術表現」としている点だ。これは日本人アーティストだけでなく、日本でインスピレーションを受けながら制作した海外作家も含む包括的視点を示している。異なる文化圏の美術館による共同企画として、国籍を超えた複数の視点で日本というプラットフォームから生まれた多様な表現をとらえようとする意図が見て取れる。

大竹伸朗 網膜(ワイヤー・ホライズン、タンジェ) 1990–93
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