SIDE COREとバスで巡る、被災地・能登のいま。ビジティングプログラム「ROAD TO NOTO」が開く、きっかけとしての“道”

「Living road, Living space / 生きている道、生きるための場所」(金沢21世紀美術館)の一環で行われている能登へのビジティングプログラム。その模様をレポート

珠洲市内

石川・金沢21世紀美術館で開催中のSIDE COREの個展「Living road, Living space / 生きている道、生きるための場所」

SIDE COREの活動の軌跡と現在地を探る本展は、「異なる場所をつなぐ表現」をテーマに、「道」や「移動」を主題とした作品を中心に構成されている。美術館に「道」を開く試みとして、展示スペース内に無料エリアを設け、本格的なスケートパークも登場。さらに、展覧会の最終章「LIVING ROAD:生きている道」では、2024年元日に起きた能登半島地震後、金沢や能登を繰り返し訪れ、地域の人々と対話を重ねながら制作を続けた作品群が紹介されている。

展覧会は美術館内に収まらず、会期中に能登を訪れる機会を提供するビジティングプログラム「ROAD TO NOTO」も企画された。このプログラムは、能登半島の最先端にある石川県珠洲市と金沢21世紀美術館を「道」でつなぐことをコンセプトに据えており、参加者はSIDE CORE制作のオリジナルガイドブックを片手に様々なスポットを巡ることができる。筆者は10月に本プログラムに参加した。その模様をレポートする。

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能登を訪れる「きっかけ」を作る

能登へ向かうバスは、美術館前から出発。同乗するSIDE CORE・松下徹の案内により、「ROAD TO NOTO」のプログラムはスタートする。

バスは日本海沿いを北上し、やがて山道に入っていく。高速道路に置かれた看板や工事用の照明は、美術館で見たSIDE COREのインスタレーションに使用されていたのと同じものだ。展覧会を見た後だと、普段は気に留めない道路の細部に自然と目がいく。

車窓から見える風景

本プログラムは、発災後に能登半島の状況を気にかける人は多かったものの、インフラが大きなダメージを受け、「能登へは行けない」というイメージが広まっていたことが企画の発端になっているという。「行く機会が得られない人と一緒に行くことが重要。でも、あくまでこれは能登に行くきっかけであって、ここからそれぞれ能登半島への関わりの入り口を得てもらえたら」と松下は話す。つまり、このビジティングプログラムは観光や視察ではなく、参加者それぞれが能登との関わり方を見つけるための「入り口」として位置づけられている。

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