
マーゲット・エムリッヒ《記念碑、ウーゼドム島グムリン》が展示される展示室内の様子
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神奈川県立近代美術館 葉山で、企画展「もはやない国のかつてない光 東ドイツの女性写真家たち」が開幕した。会期は8月30日まで。
1990年の再統一によって消滅したドイツ民主共和国、通称・東ドイツで写真家としてキャリアを築いた女性たちの作品が一堂に会する本展。ティーナ・バーラ、ジビレ・ベルゲマン、ヘルガ・パリスをはじめとする15人の作家の作品が、ひとつの展示空間に並ぶ。東ドイツ時代の作品から再統一後の近作、そして最新映像作品まで、多様な実践を見渡すことができる。

「日本でのドイツ写真の紹介は、これまで旧西ドイツ出身の写真家が中心でした。東ドイツで活動した女性写真家たちは、ドイツ写真史においても近年まで十分に評価されてこなかった」と、本展を担当した学芸員の三本松倫代は話す。
日本でドイツの戦後美術といえば、デュッセルドルフ美術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャーに学んだアンドレアス・グルスキーやトーマス・ルフといった旧西ドイツの写真家が長らく主流だった。本展はその文脈から外れた場所に目を向け、ライプツィヒの美術大学で写真を学んだ作家たちを中心に据えている。
展示の核となるのは、旧東ベルリンを拠点とするラインベックハレン財団が管理する、現代美術コレクターのスヴェン・ヘアマンのヴィンテージ・プリント・コレクションだ。東ベルリン出身のヘアマンは、かつての工場跡地を美術スペースとして再開発した人物でもある。東ドイツの女性写真家たちが撮ったドイツの姿に共鳴し、重点的に収集してきたこのコレクションが日本で公開されるのは、今回がはじめてとなる。
第一展示室では、東ドイツの写真史を語るうえで欠かせない存在、エフェリン・リヒターの作品から始まる。ライプツィヒ美術大学の写真学科で後進を育て、写真を芸術として確立することに貢献した人物だ。レニングラードのマリインスキー劇場で撮影したダンサーの写真や、美術館を訪れる人々を観察した連作など、東側と西側を行き来しながら積み重ねた仕事が展示されている。


