
「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」会場風景
「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」展が、好評のうち国立新美術館での展示を終え、京都市京セラ美術館で巡回中だ。
開会挨拶で、テッド・マクドナルド=トゥーン(テート美術館国際連携部長)は、「YBA、という呼び名は特定のグループを指すものではなく、この時代に登場した多彩な表現の“星座のような集まり”」と述べた。この時代はアーティストにとってなんだったのか? 出品作家のひとり、スティーヴン・ピピンに話を聞いた。

──「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」展は京都で初めてご覧になったそうですが、いかがでしたか?
入り口にフランシス・ベーコンが展示されていました。個人的にベーコンはとても好きですし、この展覧会の雰囲気が立ち上がるような、そういった感覚があったと思います。強い個性を持ちながら、同時に鎮静するような、そういう印象があります。その横にダミアン・ハーストの作品が配置されていて、そこから展示が始まるというのは非常に面白いなと思いましたね。
気に入った作品はサラ・ルーカスですね。見たことのない作品で、とても印象的でした。

あと、マーク・ウォリンジャーの《王国への入り口》です。アートの作品というよりは、この状況(空港の出口)を観察している感じも良かったです。
──自身がYBA展の作家のひとりとされることについて、どう感じますか?
じつは、作品の半分は、初めて見るものでした。今回、紹介されているアーティストたちにも、私はほとんど実際に会ったことがないんです。自分自身、YBAと呼ばれる動きのなかからちょっと離れた場所にいたと感じています。わざと接近しなかったわけではないのですが……。なので、YBAがグループであり、私がその一員というふうにとらえられると、乖離があるなと個人的には思います。

──ご自身にとって、90年代はどんな時代でしたか?
振り返ってみると、90年代は非常に極端なことがあちこちで起こった時代だったと思っています。個人的には難しい時代でした。お金も仕事もなかったし、社会から隔離されたような場所で、ずっと何かを作り続けて、方向性を模索していました。。パーティーみたいな雰囲気とは無縁でした。そもそも私の作品は、YBA展で展示されている作品とは、またスタイルが違っていて、非常に時間がかかるものだったせいもあります。時には、ひとつの作品の制作に2年、時には10年ぐらいかかります。ですが、90年代の後半になると、事態が逆転して毎月のように展覧会が開催されるようになり、急に忙しくなりました。