




空間的な体験以外の面白さもある。ZAIMフェスタ全体を見れば、外国人を含む様々な横浜内外のアーティストやクリエイティブな活動をしている人たち、そしてクリエイティブ・シティに取り組む行政の現場の人たちとリラックスした雰囲気で出会うことができるというのが最も面白いところではないかと思う。その 意味では、展示前から展示中まで連日アーティストを呼んでパーティーをしながら空間に手を加えていくという、どう転ぶかわからない危うさを含んだキャンプ 型の展示、梅津庸一「ZAIMIZAMZIMA エキシビジョン・フォーラム」の展開が楽しみだ。
来場者にとっては、こうしたイベントをすべて含んだものがZAIMフェスタに見えるし、そうした見方で足を運ぶのはむしろ正しいように私には思える。横浜との縁の強さや展示に対する熱意の込め方へ多少のばらつきがあることにはこの際、眼をつぶるべきだ。重要なのは、既に活躍しているアーティストも新しいことをやりたくなり、クリエイティブな団体はその活動を存分にプレゼンテーションしたくなるような雰囲気を作っているZAIMという場所の持つポテンシャルだろう。適度な内輪感、適度な居心地の良さが生み出す、新しいもの、異質なものに対して身構えずに出会うことがしやすい空気。私たちは、こうした状況では生まれないものに対するのと同様に、こうした状況でしか生まれないものをも、もっと評価すべきではないか。個人的には、小学生の頃に自由な校風で有名な高校の文化祭に行った時の感じを思いだした。そう、これは横浜を代表するクリエイティブ拠点ZAIMの、展覧会でもあり、アートイベントでもある、文化祭なのだ。
作田 知樹
作田 知樹