公開日:2007年8月16日

新世代への視点’06 「塩津淳司」

塩津淳司は、人工的な素材を用いてランドスケープをつくり出す。昨年ギャラリィKで見たインスタレーションは、壁面に貼りこまれた透明な中空パネルに赤・青・黄色の細いテープを用いて、増殖し続ける建築物で溢れた近代(あるいは未来?)の都市を描き、その空間の内部に吊りこまれフィルタの役割もこなすパネルを通して見ると、そのランドスケープが変容するというものだった。


今回、銀座の10の画廊で同時開催されている「新世代への視点’06」で塩津が発表しているのは、同じランドスケープでも生命だとか事物だとかが生成する直前の状態だという。

床には直径1-2mmほどの小さく透明な粒子が敷きつめられ、ミラーシートが貼られた壁面の前には、色を得た無数の粒子が何らかの形を成すべく並んでいる。非常に細かい作業によりつくり出された2Dの濃密な模様と、それらがミラーに写りこむことにより得られる立体感に視神経がゆさぶられる。

イリュージョナルな視覚体験と同時に、踏みしめた粒子のやけにリアルな感触を確かめながら現実世界との接点を探したい。

なお、「新世代への視点」は1993年より、近年では隔年開催されている企画で、10の画廊が35才以下の若手作家を推薦、会期を合わせて個展を開催。シンポジウムなども行っている。

展覧会のTAB詳細:新世代への視点’06 「塩津淳司」
展覧会のTAB詳細:新世代への視点’06 「滑川由夏」
展覧会のTAB詳細:新世代への視点’06 「寺田佳央」(コバヤシ画廊)
展覧会のTAB詳細:新世代への視点’06 「冨井大裕」(ギャラリー現)
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展覧会のTAB詳細:新世代への視点’06 「タムラサトル」

Makoto Hashimoto

Makoto Hashimoto

1981年東京都生まれ。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程卒業。 ギャラリー勤務を経て、2005年よりフリーのアートプロデューサーとして活動をはじめる。2009〜2012年、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)にて「<a href="http://www.bh-project.jp/artpoint/">東京アートポイント計画</a>」の立ち上げを担当。都内のまちなかを舞台にした官民恊働型文化事業の推進や、アートプロジェクトの担い手育成に努める。 2012年より再びフリーのアートプロデューサーとして、様々なプロジェクトのプロデュースや企画制作、ツール(ウェブサイト、印刷物等)のディレクションを手がけている。「<a href="http://tarl.jp">Tokyo Art Research Lab</a>」事務局長/コーディネーター。 主な企画に<a href="http://diacity.net/">都市との対話</a>(BankART Studio NYK/2007)、<a href="http://thehouse.exblog.jp/">The House「気配の部屋」</a>(日本ホームズ住宅展示場/2008)、<a href="http://creativeaction.jp/">KOTOBUKIクリエイティブアクション</a>(横浜・寿町エリア/2008~)など。 共著に「キュレーターになる!」(フィルムアート/2009)、「アートプラットフォーム」(美学出版/2010)、「これからのアートマネジメント」(フィルムアート/2011)など。 TABやポータルサイト 「REALTOKYO」「ARTiT」、雑誌「BT/美術手帖」「美術の窓」などでの執筆経験もあり。 展覧会のお知らせや業務依頼はhashimon0413[AT]gmail.comまでお気軽にどうぞ。 <a href="http://www.art-it.asia/u/hashimon/">[ブログ]</a>