公開日:2023年3月10日

ジャン・リュック・ゴダールが見た60年代のアメリカとは? 幻のドキュメンタリー 『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』が約半世紀を超えて日本初公開

4月24日から全国公開。新宿K’s cinemaでは『中国女』と『ニューヨークの中国女』も公開

1PM-ワン・アメリカン・ムービー

ゴダールが放棄したドキュメンタリー映画が日本初公開

昨年2022年に死去したジャン=リュック・ゴダール。彼が1968年に渡米し、映画撮影した様子を記録したドキュメンタリー映画『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』が日本初公開される。公開は4月22日より。

1PM-ワン・アメリカン・ムービー

政治が激動する1968年の秋、ゴダールは『1AM』(『ワン・アメリカン・ムービー』)という企画に関わるために、アメリカ合衆国の反体制的な政治と文化の状況に目を向けた。カメラを回すのは、撮影と録音を同時に行いナレーションを入れないドキュメンタリー映画の手法「ダイレクト・シネマ」の旗手であったD・A・ペネベイカーリチャード・リーコック

だが、ヌーヴェル・ヴァーグを牽引した末に商業映画と訣別するに至ったゴダールと、ドキュメンタリー映画界の革命児たちの夢の共同作業は編集段階で頓挫。3年後の1971年に公開された本作『1PM』は、ゴダールが放棄したフッテージをペネベイカーが繋ぎ合わせた映画だ。

同作には、現実と虚構を掛け合わせようとするゴダールの目論見と、現実を未加工のまま提示しようとするダイレクト・シネマの手法がせめぎ合う。ブラックパンサー党のエルドリッジ・クリーヴァーの談話や、ジェファーソン・エアプレインの印象的なパフォーマンスを捉えたその記録映像からは、ありえたかもしれないゴダール映画を透かし見ることもできるかもしれない。

また、上映館であるK’s cinemaでの上映期間中には、1968年の五月革命を予見したとされるゴダールの問題作『中国女』(1967)を限定リバイバル上映。同時に『中国女』を巡るゴダールのドキュメント『ニューヨークの中国女』(1968)も日本初公開だ。

『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』(英題:1PM)

1971年/アメリカ/カラー/90分/BD ©Pennebaker Hegedus Films / Jane Balfour Service 
監督:D・A・ペネベイカー、リチャード・リーコック 
撮影:ジャン゠リュック・ゴダール、リチャード・リーコック、D・A・ペネベイカー
録音:ケイト・テイラー
編集:D・A・ペネベイカー 
出演:ジャン゠リュック・ゴダール、リップ・トーン、ルロイ・ジョーンズ、エルドリッジ・クリーヴァー、トム・ヘイドン、ジェファーソン・エアプレイン 

2023年4月22日(土)より新宿・K’s cinemaほか全国順次公開

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