公開日:2022年5月1日

2022年、映画館で見たい注目アートムービー。作家のドキュメンタリーや手描きアニメーションの現在まで

ヒルマ・アフ・クリント、フェルナンド・ボテロ、アイヌの祭祀、ヘレン・シャルフベック、高田賢三、手描きアニメを題材とした映画を紹介

『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』より ©︎ 2018 by Botero the Legacy Inc. All Rights Reserved

『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』

1862年、スウェーデンに生まれたヒルマ・アフ・クリントは美術史上での勃興以前に抽象絵画を描き、近年注目を集める女性画家だ。しかし彼女は自身の作品を広く発表することはなく、死後20年間はそれを世に出さないように言い残し、この世を去る。
よくある作家の「知られざる」人生を明らかにするドキュメンタリーではなく、学芸員や美術評論家の発言を通じて、既存の美術史が抱える問題を提起する本作。映画鑑賞と合わせてレビューをぜひ読んでおきたい。

公開日/上映館:4月9日より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
配給:トレノバ
https://trenova.jp/hilma/

『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』より

『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』

フェルナンド・ボテロはコロンビア出身の画家。今年90歳を迎えたボテロは《12歳のモナ・リザ》を筆頭に、描くものすべてをふっくらとさせる画風で知られている。存命の芸術家でもっとも著名なひとりであるが、その人生は出自による差別や、具象画への心なき批判、息子の死など順風ではなかった。本作はそんなボテロの人生に、ボテロ自身や彼の子供たち、ギャラリストや美術史家などへのインタビューから迫るドキュメンタリーだ。映画公開に合わせて、Bunkamura ザ・ミュージアムでは「ボテロ展 ふくよかな魔法」が開催中。展覧会の詳細はこちらからチェック

公開日/上映館:4月29日より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
配給:アルバトロス・フィルム
提供:ニューセレクト 
https://botero-movie.com/

『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』より ©︎ 2018 by Botero the Legacy Inc. All Rights Reserved
『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』より ©︎ 2018 by Botero the Legacy Inc. All Rights Reserved

『チロンヌプカムイ イオマンテ』

「チロンヌプカムイ イオマンテ」とは「キタキツネの霊送り」を意味するアイヌの祭。本作は長年アジアの民俗文化を撮影してきた北村皆雄が1986年、およそ75年ぶりに開催された祭祀の様子を収めた映像に2Kレストアを行ったもの。現代日本語訳を担当したのは、マンガ『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修を務める中川裕。音楽はアイヌの詩を取り入れた活動を行う豊川容子+nin cupだ。
先日完結した『ゴールデンカムイ』の読者は、開催中のGallery AaMoゴールデンカムイ展」と合わせて見に行ってはいかがだろうか。

公開日/上映館:4月30日より、ポレポレ東中野ほか全国にて順次公開
配給:ヴィジュアルフォークロア
https://www.iomantefilm.com/

『魂のまなざし』

モダニズムを代表する画家のひとりとして、近年注目を浴びるヘレン・シャルフベック。画商の訪問がきっかけとなった大規模個展の開催、15歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いなど、本作はシャルフベックの画風と人生を決定づけた1915年から23年を物語的に描き出した作品だ。生誕160年を記念する本作を通じて、フィンランドの国民的画家の生きた激動を追体験してはいかがだろうか。

公開日/上映館:7月15日より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
配給:オンリー・ハーツ

『魂のまなざし』より ©︎ Finland Cinematic

『# KENZO TAKADA』

髙田賢三はファッションブランド「KENZO」の創業者。オーダーメイドで高級志向のオートクチュールではなくプレタポルテ(高級既成服)を広めた髙田は、フランスから芸術文化勲章を受勲するなど、世界的に評価されたデザイナーだ。「木綿の詩人」や「色彩の魔術師」と呼ばれた髙田の、半世紀以上に渡るクリエイションと葛藤を振り返る本作。2020年に死去するまでの、最期の2年間を記録したドキュメンタリーとしても注目だ。

公開日:2022年公開予定
配給:ライトフィルム
http://kenzotakada-film.com/

『# KENZO TAKADA』より ©︎ THE U.D.S. LTD. / TRIPOD Ltd, Liability Co.
『# KENZO TAKADA』より ©︎ THE U.D.S. LTD. / TRIPOD Ltd, Liability Co.

『Hand-Drawn』

手描きアニメをテーマとする本作は、北米、ヨーロッパ、日本でアニメに関わるクリエイターたちへのインタビューをもとにした長編ドキュメンタリー。『美女と野獣』のグレン・キーン、『竜とそばかすの姫』の細田守、アカデミー短編アニメ賞へノミネートの実績を持つ山村浩二やビル・プリンプトンなどの語りを通じて、手描きアニメの現在や未来、直面する課題を映し出す。

公開日:2022年公開予定
http://www.handdrawnfilm.com/jp

ビデオゲーム「Cuphead」の原画 © MCMXXXVIII By Studio MDHR Corp
細田守




浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。