公開日:2023年2月24日

金沢21世紀美術館、2023年度の注目展覧会。アレックス・ダ・コルテ個展やデジタル・トランスフォーメーションなどアート×テクノロジーにフォーカス

アレックス・ダ・コルテの日本初個展など、デジタルをテーマにした展覧会を多数展開

アレックス・ダ・コルテ The Open Window 2018 © Alex Da Corte studio

アートと新しいテクノロジーが今年のテーマ

金沢21世紀美術館から2023年度の展覧会開催予定が発表された。同年度のプログラムコンセプトは「アートと新しいテクノロジー(Art and new technology) 」。インターネットやAI (人工知能)などの発達・普及によって大きく変化する社会環境や生活を背景にした展覧会が多数用意される。

アレックス・ダ・コルテ Rubber Pencil Devil 2019 Collection of Louisiana Museum of Modern Art, Denmark © Alex Da Corte studio

アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄」(4月29日〜9月18日は、米国在住のアレックス・ダ・コルテの日本での初個展。

「イメージの作られ方、認識のされ方」、またその延長にある記憶の作られ方について探求する作家の活動から、よく知られているキャラクターやアイコンに彩られる遊び心のあるポップでヴァーチャルなイメージ、現実の陰鬱さや寂寥感が共存する不思議な魅力にあふれた映像作品を中心に紹介する。

Keiken Morphogenic Angels and The Bubble Theory 2022 © Keiken
河野富広 AR Effect Wig transformation 1 2020 © Tomihiro Kono

「DXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)―次のインターフェースへ(仮題)」(10月7日〜2024年3月17日)は、デジタルテクノロジーによって地球と、そこに住む「私たち」の生き方や感性はどのように変わっていくかを探るグループ展。人新世と呼ばれ、見えないネットワークやAIによるコントロールに浸された社会をDXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)と呼称し、アーティスト、建築家、科学者、プログラマーなどの紹介を通して、AI、メタバース、バイオテクテクノロジーがもたらす新しいリアルや、衣食住も含めた総合的な生き方の可能性を探求していく。

リジア・クラーク 動物ー二重の蟹 1960 金沢21世紀美術館蔵 © “The World of Lygia Clark” Cultural Association Photo by SAIKI Taku (「コレクション展1 それは知っている:形が精神になるとき」に出品)
カールステン・ニコライ リアリスティック 1998 金沢21世紀美術館蔵 © carsten nicolai Courtesy of Galerie EIGEN+ART Leipzig/Berlin Photo by FUKUNAGA Kazuo (「コレクション展2 リミックス・サウンド(仮題)に出品)

以上2つの企画展に加えて、コレクション展でもテクノロジー、あるいは形と精神の関係性についての企画が並ぶ。

「コレクション展1 それは知っている:形が精神になるとき」(4月8日〜11月5日)は、古来より芸術作品を通して探求され続けてきた「形と精神の関係」を問う展示。1960年代から近年までの絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションといった多様なコレクション作品から、様々な形の関係が知っている精神のプロセスに迫る。

「コレクション展2 リミックス・サウンド(仮題)」(11月18日〜2024年5月12日)は、その名の通り「音/サウンド」をテーマとする企画。音というメディアが持つ、「身体」の知覚を通して人間と世界をリミックスする力を多様な作品から紹介する。

池田晃将 天地四方百千香合 2022 個人蔵 2.2×6.1×6.1cm 漆、木曽檜、鮑貝、夜光貝、金 (「虚影蜃光 - Shell of Phantom Light」参考画像)

デザイン、とくに金沢に根付く工芸に目を向けるのも金沢21世紀美術館の特徴。デザインギャラリーで開催する「虚影蜃光 - Shell of Phantom Light」(4月8日〜9月18日)は、金沢美術工芸大学と金沢卯辰山工芸工房で漆芸の技術を磨いた池田晃将の個展。作家が幼少期から親しんできた漫画、アニメーション、ゲームなどから着想を得た螺鈿の構造色を活かした作品を紹介する。

顧剣亨 Mori, Shade_dw_001 2023 © Kenryou Gu Courtesy of Yumiko Chiba Associates

若手作家紹介のアペルトシリーズでは、「アペルト18 顧剣亨 陰/残像」(4月8日〜9月18日)を開催。「デジタルウィービング」という複数の写真の時空間を編み込む独自の手法で、織物のような写真作品を生み出し、イメージの背後に潜在する文脈を表現する顧剣亨を紹介。中国・福建省の原始林や沖縄のやんばるなどの各地の森を高解像度カメラで撮影した大型の新作シリーズを公開する。

このほかにも演劇公演やワークショップなどの多彩なイベントは、こちらからチェックできる。

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