公開日:2023年2月9日

海外アーティストをインフルエンサーに? 令和5年度から文化庁「アーティスト・イン・レジデンス活動支援」の助成条件にSNSなどでの発信が追加

SNS全盛時代の評価基準とは?

文化庁ホームページ「令和5年度アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業の募集について」より(https://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/kobo/93827801.html)

芸術・文化も「バズ」を気にする時代に突入

文化庁が「令和5年度アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業の募集について」の公募を開始したが、「補助の条件」に今年度から新たな項目として「日本に滞在した外国人アーティスト等が滞在中の活動の様子を自身のSNS等で発信し、その発信数や閲覧数」 「AIR実施団体において、補助対象のAIRプログラムの広報・発信を行い、その発信数や閲覧数、メディアによる取扱数等」 など、主にSNSを介したアーティストによる広報・発信の必要が加わった。

「令和5年度アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業 募集案内」p.3より

同助成は、PARADISE AIR(千葉)やTOKAS(東京)など、国内外のアーティスト、外国人研究者、学芸員が一定期間滞在し、様々な交流を通して創作活動や将来の創作活動等に有益となるプログラムを提供する団体を対象とするもので、アーティスト個人は直接の対象ではないが、各団体を仲介するかたちで、海外に向けた日本滞在経験の告知活動を海外アーティストに求めるものと言えるだろう。こういった主旨のプログラムにおいては、成果の計量化や可視化が課題の一つとなるが、その尺度として、例えばTwitterやFacebookなどでのリツイートや「いいね」の数、閲覧数などが参考とされるのは時代に即した変化とも言える。

いっぽう、文化庁が求める「具体的な数値の目標」とその達成可能性が、助成対象者や応募されるプログラムの内容を限定する恐れもある。SNS上での人気や評価が、芸術・文化の社会的意義とイコールでないのは明らかだ。今回の募集内容の改訂がアーティストや作品などに与える影響を注視していくべきだろう。

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