建築映画館2023
総合芸術である映画は様々なものにたとえられるが、例えば建築的な空間性・時間性から語られることもしばしばある。そんな建築と映画の関係を結ぶユニークな映画祭「建築映画館2023」がアンスティチュ·フランセ東京で開催される。会期は2023年2月23日から2月26日。
製作国、時代、ジャンルに縛られず、建築に関連した映画を選定・上映する同イベント。今年度は「構造」「建築と人物」「図面」「アーカイブ」「都市」の5つをテーマに掲げ、全19作品を上映する。
例えば「構造」では、ジェームズ・ベニング『11×14』(1977年、81分)、今年1月に逝去したマイケル・スノウの短編3作を通して、ショット構成や物質的な支持体であるメディア(フィルムやビデオテープ)など、映画を成立させるための構造それ自体を主題とする「構造映画」を紹介。


「図面」では溝口健二『雪夫人絵図』(1950年、88分)、黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』(2016年、130分)などの日本映画を含めた3つの劇映画を紹介。映像の情報をもとに図面(主に平面図)を描き起こす映画の図面分析を通して、映画と建築の関係性を再考しうる作品を示す。


とくに今回注目なのが、「都市」のテーマで上映される、ペニー・アレン『プロパティ』(1979年、88分)とトム・アンダーセン『ロサンゼルスによるロサンゼルス』(2003-2014年、169分)。1970年代のオレゴン州ポートランドで、急激に進むジェントリフィケーションから生活を守ろうとした住民たちを描く地域映画である前者と、200本以上の映画フッテージを用いてロサンゼルスが映画の中でどのような背景や被写体であったかを分析した後者は、ともに日本初公開となる。


23日の14時40分から行われるオープニングトーク「現代建築映像にまつわる対話」をはじめ、上映に併せて映画・建築双方の分野からゲストを招いたトークショーも多数開催される。
建築映画館2023
会期:2023年2月23日〜26日
会場:アンスティチュ·フランセ東京
チケット:通常料金1500円(学生・障がい者1200円)、トークありの回1800円(1500円)、1日通し券・4日通し券もオンラインで発売中。当日券もあり