公開日:2025年5月26日

日本のオルタナティブなアート活動をまとめるプラットフォーム「daitai art map」が始動。企画運営にはChim↑Pomの卯城竜太らが参加

地域密着型や独自性の高い芸術的活動を草の根的に記録・可視化。第1回では約100個の団体・プロジェクトが紹介される。

「daitai art map」2025年5月26日時点

日本列島の各地で展開されるオルタナティヴなアート活動をアーカイヴするプロジェクト「daitai art map」が、5月26日にローンチされた。手がけたのは株式会社Tocasi。企画運営・イニシエーターとしてChim↑Pom from Smappa!Group卯城竜太が参加している。

同プロジェクトは「地域密着型や独自性の高い芸術的活動を草の根的に記録・可視化し、全国各地に広がるネットワークと関心の輪を結び直す」ことを目的に作られたウェブプラットフォームだ。札幌を拠点とするアーティスト/オーガナイザーの高橋喜代史が名付けた「daitai」というプロジェクト名は、オルタナティヴの直訳である「代替」と、それぞれの活動に共通する「大体」な感覚というふたつの意味が含まれている。

同プロジェクトがアーカイヴの対象とする活動の多くはアーティスト、キュレーター、カルチュラルワーカー、アクティビストが手がけるインディペンデントな芸術の営みだ。寂れゆく商店街や、奥多摩のラフティングスポットを舞台にした芸術祭、農場や廃屋を活用した展示スペースなど、全国各地で開催されるユニークな発想に満ちたアート実践は、私たちの中で無意識のうちに形成されてきた既存の美術観・価値観を問い直す可能性を持っている。

2022年「芸術激流」(多摩川・国立奥多摩美術館、東京) チラシ制作風景

しかし、これらのアート活動が個別に紹介される機会はあっても、それらを体系的かつ網羅的にとらえる試みはこれまでほとんど行われて来なかった。同プロジェクトは、現在活動中の約100個の団体・プロジェクトを俯瞰図的にマッピングし、制度や資本の外側における取り組みの様子を可視化する。

「daitai art map」ウェブサイトより

第1回のラインナップの選定・執筆を担当したのは、卯城が声をかけ集まったアーティストやキュレーターたちだ。たんに活動を網羅するだけでなく、みずから実践者として各地で活動を行い、このテーマに関心を寄せる彼ら/彼女らならではの「個別的な記述」が重視されていることも同プロジェクトの特徴と言えるだろう。また、以降の更新ではリサーチャーの構成や、選定方法なども変化するようだ。

今後の活動予定としては、掲載された活動をめぐるツアーや特集記事の公開が予定されているほか、オルタナティヴなコミュニティ形成をリサーチする研究者を迎えた対談・座談会の開催、各地の活動者が交流するためのイベントなども企画されている。美術館・ギャラリーといった既存の美術制度の外側にあるアートをめぐる旅に連れ出してくれる「daitai art map」から、今後も目が離せない。

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