公開日:2023年2月2日

恐竜画すごいぜ! 夢とロマンのパレオアート約150点などが集結する 「恐竜図鑑 ― 失われた世界の想像/創造」が兵庫と東京で開催

兵庫県立美術館では2023年3月4日から5月14日まで。上野の森美術館では5月31日から7月22日まで

チャールズ・R・ナイト ドリプトサウルス(飛び跳ねるラエラプス) 1897 グアッシュ・紙 40×58cm アメリカ自然史博物館、ニューヨーク Image #100205624, American Museum of Natural History Library.

描かれた恐竜が魅せる、科学と空想とロマン

恐竜展といえば化石や原寸大の模型が定番だが、この展覧会はひと味違う。特別展「恐竜図鑑—失われた世界の想像/創造」では、図鑑などに掲載されることも多い恐竜など古代生物を描いた「パレオアート」の世界に目を向ける。2023年3月4日から5月14日兵庫県立美術館で開催。その後、5月31日から7月22日には上野の森美術館に巡回する。

ズデニェク・ブリアン タルボサウルス・バタール 1970 油彩・カンヴァス 56×42.5cm モラヴィア博物館、ブルノ © Jiří Hochman - www.zdenekburian.com and Fornuft Consulting s.r.o.

19世紀に恐竜が発見されて以降、化石などの痕跡から想像をふくらませた人間たちは、絵画を主な手段として太古の世界の住人たちの姿を創造してきた。科学的な見地に立ちながらも、同時にロマンも反映させたパレオアートを集めた同展では、19世紀の奇妙な復元図、20世紀に活躍した恐竜画の2大巨匠チャールズ・R・ナイトとズデニェク・ブリアンによる記念碑的作品、漫画・おもちゃなどのサブカルチャーからファインアート、さらには現代恐竜画の旗手たちによる、近年の研究に基づく作品が並ぶ。

チャールズ・R・ナイト 白亜紀―モンタナ 1928 油彩・カンヴァス 38.1×96.5cm プリンストン大学美術館 Image courtesy Princeton University Art Museum.

野生動物画家としてキャリアをスタートし、生物学的知見から恐竜をいきいきと描いたことで映画『ロスト・ワールド』(1925年)や『キング・コング』(1933年)にも影響を与えたチャールズ・R・ナイト。20世紀中盤から後半にかけてチェコを拠点にヨーロッパ美術のリアリズムの伝統をふまえて作品を描いたズデニェク・ブリアン。彼らの作品は、日本の図鑑などにも模写され、恐竜のイメージの普及に大きな影響を与えた。

ズデニェク・ブリアン イグアノドン・ベルニサルテンシス 1950 油彩・カンヴァス 60x48cm モラヴィア博物館、ブルノ © Jiří Hochman - www.zdenekburian.com and Fornuft Consulting s.r.o.
ロバート・ファレン ジュラ紀の海の生き物―ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット) 1850頃 油彩・カンヴァス 190×268cm ケンブリッジ大学セジウィック地球科学博物館 © 2022. Sedgwick Museum of Earth Sciences, University of Cambridge. Reproduced with permission.

現代的な知見にもとづいた恐竜画以前の、パレオアート黎明期の作品も興味深い。映画『アンモナイトの目覚め』(2020年)でも知られる英国の女性化石採集者、メアリー・アニングの功績をたたえるために制作された《ジュラ紀の海の生き物―ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)》(1850年頃) は、古生物の生態を復元した史上初の絵画の一つと言われているが、魚食のイクチオサウルスが巨大な首長竜を食べているなど、現代から見ると奇妙な魅力を伴っている。

聖書や神話を題材とした作品で人気を博した画家ジョン・マーティンが描いた《イグアノドンの国》の太古の世界も、どこか牧歌的でロマンティックだ。

ジョン・マーティン イグアノドンの国 1837 水彩・紙 30.2×42.6cm ニュージーランド国立博物館 テ・パパ・トンガレワ、ウェリントン Gift of Mrs Mantell-Harding, 1961. Te Papa (1992-0035-1784)

これらの作品以外にも、恐竜研究が進んだ20世紀後半以降に発表された現代の恐竜画、日本を代表するパレオアーティスト・小田隆の作品、チョコレートのおまけとして制作され、コレクターに大変な人気のカードなども展示される。

親しみはありつつも、アートとなるとあまり知ることのなかった恐竜画、パレオアートの世界にたっぷり触れたい。

ダグラス・ヘンダーソン ティラノサウルス 1992 パステル・紙 36.8×68.6㎝ インディアナポリス子供博物館(ランツェンドルフ・コレクション) Courtesy of The Children's Museum of Indianapolis © Douglas Henderson
小田隆 篠山層群産動植物の生体・環境復元画 2014 アクリル・カンヴァス 115×160cm 丹波市立丹波竜化石工房 ©小田隆/丹波市
ハインリヒ・ハーダー プテラノドン(『太古の動物』より) 1916 リトグラフ・紙 エリック・ビュフトー・コレクション

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