本記事では、開催中あるいはこれから開催される、東日本大震災に関連する展覧会をピックアップ。震災から12年が経ち、その被害や経験の忘却や風化が進んでいくなか、展覧会はそれに抗い、その後の生活に思いを馳せるきっかけになるはずだ。訪れることが難しい人も、ぜひチェックしてほしい。
本展では、震災直後から現在にいたるまで、福島を拠点に活動する岩根愛、岩波友紀、村越としやという3人の写真家の作品を紹介。開催のきっかけは、世界各国を巡った、東北の魅力、特徴を紹介する展覧会での出展作品が巡回後、会津若松市の県立博物館へ寄贈されたことだった。なお本展に限らず、福島県立博物館は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を伝え、その後の復興を支援する活動を続けている。
会場:福島県立博物館
会期:1月21日~3月19日
宮城県南三陸町にある南三陸311メモリアルでは、公募により集まった震災前の南三陸町の写真を公開する展覧会が開催。かつての町の風景を通じて、懐かしい思い出を語り合える場を作りたいという思いのもと、企画された。写真のほかに、志津川地区の街並みを再現したエリアごとの模型も展示される。
会場:南三陸311メモリアル
会期:2月15日~5月15日
「星空と路」は、せんだいメディアテーク内の「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(通称:わすれン!)にて、毎年3月に行われている展示や上映会のこと。センターに参加した人々が記録・発信するエピソードを通じて、震災のこれまでとこれからを考えるきっかけを提供し続けている。2021年に「わすれン!」へ尋ねたインタビューも合わせてチェックしてほしい。
会場:せんだいメディアテーク
会期:3月8日~3月12日
「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」は東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)による、中堅アーティストを対象とした現代美術賞。第3回の受賞者は、ともに東北地方を拠点に活動する志賀理江子と竹内公太。志賀は東日本大震災後の復興計画に圧倒された経験を、人間が「歩く」営みとしてとらえ直した作品を、竹内は第二次世界大戦時の兵器「風船爆弾」のリサーチをもとに、過去の出来事ーアーティストー鑑賞者という「憑依の連鎖」による新作を発表する。昨年10月に公開した志賀へのインタビューもぜひチェックしてほしい。
会場:東京都現代美術館
会期:3月18日〜6月18日
宮城県多賀城市にある東北歴史博物館では、4月から復興祈念展がスタート。国宝12件、重要文化財27件をふくむ奈良と東北の寺宝60件が展示される。地震などの自然災害や、人々の争いによって生じた兵火を乗り越え、大切に守られてきた作品を通じて、苦難に立ち向かった人々の「祈りの形」を提示する。
会場;東北歴史博物館
会期:4月15日〜6月11日