
参加者の手元を見守る髙橋一生
全国規模のアート&デザインアワード「学展」を主催する一般社団法人日本学生油絵会は、同会の理事を務める俳優・髙橋一生を伴走者に迎え、小中学生6名とともに特別映像企画《関わり混ざる三日間》を実施した。
本企画のテーマは「関わり、混ざる」。3日間にわたり、参加者たちは演技ワークショップや対話、即興的な身体表現に取り組んだ。髙橋は昨年に続き、何かを教えたり完成形へ導いたりする指導者ではなく、創造の過程に寄り添う「伴走者」として子供たちと向き合っている。
会場となったスタジオでは、3日間を通して様々な取り組みが行われた。身体を使った即興のワーク、車座になっての対話、床に広げた紙に向かって黙々と手を動かすドローイングの時間。言葉を交わす場面もあれば、それぞれがひとりで考え込む場面もある。そこで得た感覚が、そのつど絵として描き重ねられていった。

髙橋は、このテーマについて次のように語る。
「『関わり、混ざる』というテーマには、人と同じになるという含意はありません」

他者と関わり、影響を受けながらも、自分で選び続けることが、一人ひとりの輪郭をかたち作っていく。その考えが、本企画の核にある。
今回のワークショップでは、最初は周囲を気にしていた参加者が、自分の意思で表現を選び始める場面があった。いっぽうで、誰かの表現に触れたことをきっかけに、自身の表現を少しずつ変えていく参加者もいた。髙橋は、どちらも自然な変化だったと振り返る。
髙橋は一人ひとりの様子を見ながら、必要だと感じたときに提案を重ねた。大切にしたのは、他者との違いに触れるなかで、参加者自身が自分の輪郭に気づいていく時間を、ともに作ることだった。

本作が映し出すのは、完成した作品だけではない。考え、迷い、誰かと語り合う過程も創作の一部としてとらえ、子供たちの表情や関係性の変化を丁寧に追っている。
合理性や効率が重視される時代において、芸術や表現は、作品を生み出すためだけのものではなく、その人が世界を見るまなざしを育てるものでもある。

参加したのは、学展出展者のなかから選ばれた小中学生6名。撮影は3日間を通して行われ、演技や対話の場面だけでなく、手が止まる瞬間や、制作のなかで交わされる何気ないやりとりまでもがカメラに収められている。完成へ向かう線的な記録ではなく、それぞれの時間が並走していく記録として、本作は編まれている。





完成した共同作品は、8月6日から16日まで、東京・六本木の国立新美術館で開催中の「第76回学展」で展示される。また、3日間の創作を記録したドキュメンタリー映像は、8月8日に同館講堂で行われる学展表彰式で、受賞者および関係者に向けて初上映される。
《関わり混ざる三日間》は、昨年の《他者を想像する四日間》に続く、学展特別映像企画の第2弾。今回も髙橋一生が伴走者を、二宮健が監督を務めた。

髙橋がこの映像をまず届けたいと考えているのは、今回の企画に参加した子供たちの保護者だ。完成した作品だけでなく、子供たちが迷い、選び、他者と関わった時間にも目を向けてほしいという。
「その時間は、二度と戻りません」
完成した作品の奥にある、一度きりの過程。本作は、普段は目にすることのできないその「見えない時間」を記録している。本企画について髙橋一生が寄せたメッセージ全文は、学展公式サイトの特集ページにて今後公開予定。
学展特別映像企画《関わり混ざる三日間》
企画内容:俳優・髙橋一生を“伴走者”に迎え、学展出展者のなかから選ばれた小中学生6名が、演技ワークショップや対話、即興的な身体表現を重ねながら、共同で作品を制作する3日間のワークショップ。
参加者:小中学生6名(学展出展者より選出)
製作:一般社団法人日本学生油絵会
企画:髙橋一生、二宮健、西田剛
監督:二宮健
エグゼクティブプロデューサー:西田剛
上映:2026年8月8日 国立新美術館講堂(受賞者・関係者限定)
作品展示:2026年8月6日〜16日 国立新美術館2D展示室(8月12日[水]は休館)