最終更新:2022年7月20日

「ジブリパークとジブリ展」が全国に先がけ長野県で開催!長野県立美術館での展示をレポート

ひと足先にジブリパークを楽しめる展示が長野県でスタート。2022年11月1日に「愛・地球博記念公園」内に開園するジブリパークの秘密に迫る。

会場風景より、ネコバス *7月平日限定でネコバス外観の写真撮影が可能

宮崎吾朗監督が陣頭指揮をとるジブリパーク

2022年11月1日に「愛・地球博記念公園」内に開園予定のジブリパーク。公園の地形をそのまま生かし、スタジオジブリの世界が表現されている。

そんなジブリパークをひと足先に楽しむことができる「ジブリパークとジブリ展」が、長野県立美術館にて開催中だ。期間は7月16日~10月10日。

「ジブリパークとジブリ展」ポスタービジュアル © Studio Ghibli © Kanyada

7月15日に行われたプレス内覧会には、ジブリパークの監督を務める宮崎吾朗が登場。

宮崎はこれまで、「三鷹の森ジブリ美術館」や愛知万博のパビリオンである「サツキとメイの家」等の建築物を手がけてきた。またアニメーション監督として、『ゲド戦記』『コクリコ坂から』『アーヤと魔女』などの作品を生み出している。

トークイベントに出演した宮崎吾朗

現在、愛知県長久手市に開園予定のジブリパークの監督として、制作全体の指揮と監修にあたっている宮崎にとって、長野県は大学時代を過ごしたゆかりある地。ここ長野県立美術館で語られた宮崎の言葉とともに、本展の見どころを紹介する。

乗って触って楽しめるネコバスがお出迎え

ジブリパークの制作現場を指揮する宮崎の、これまでの仕事と作品を振り返るとともに、11月に向け開園準備が進むジブリパークがどのようにつくられているのか、数々の貴重な制作資料とともに伝える本展。

第1章「はじまりは三鷹の森ジブリ美術館」、第2章「アニメーションの世界をつくる」、第3章「アニメーションの世界を本物に」、第4章「ジブリパークのつくりかた」の4つの章で構成。第2章では、2021年6月〜2022年5月まで三鷹の森ジブリ美術館で開催された企画展示「アーヤと魔女展」も再現されており、見応えたっぷりの内容となっている。

会場風景

入口をくぐるとまず目を引くのが、『となりのトトロ』でおなじみの大きな「ネコバス」。子供も大人も自由に乗り込むことができ、訪れた人は瞬く間にジブリの世界へと引き込まれる。序盤から、目で見て手で触れ、五感を使った体験ができる仕掛け。「今回の展示は僕がやってきた仕事がわりと中心になっているので、少し恥ずかしいようなところもあるんですけど」と前置きしたうえで、宮崎は開催にあたっての思いを述べた。

「僕自身のことでいうと、ジブリ美術館っていうハードをつくるところからジブリに入り、映画のような虚構の世界にいって、いままたパークに戻ってきた。やっとまた自分は、現実の世界に戻ってきているんだなっていうのを、ちょっと感慨深く思ったりしています」

宮崎は信州大学農学部を卒業後、建設コンサルタントとして公園緑地や都市緑化の計画・設計に従事。その後スタジオジブリに関わるきっかけとなったのが、総合デザインを手がけ、初代館長も務めた「三鷹の森ジブリ美術館」だった。

第1章では、宮崎の父・駿の着想からはじまったジブリ美術館が、歩いて触って楽しめる本物の空間へとどのように変遷を遂げたのか、その軌跡をたどることができる。

会場風景より、スタジオジブリ作品のポスターヴィジュアル
会場風景より、ネコバス *7月平日限定でネコバス外観の写真撮影が可能
会場風景より、ネコバス内部
会場風景
会場風景

「つくるだけでなく、その後どう管理していくのかというところまで携わってみたいという気持ちが、当時は強かったんです。そういう意味では、ジブリ美術館では全部やれて面白かったし、全部やっちゃうと大変なんだと思った。そこでの経験は、その後の映画づくりに意外に生きてきたっていうのはありますね」

ジブリ美術館の企画展示「アーヤと魔女展」を再現

スタジオジブリ初のフル3DCGアニメーションの制作過程を紹介した「アーヤと魔女展」が、本展で特別に再現されている。宮崎が企画と監修を担当し、自ら解説も手がけた。「すごく面白い展示になっているので、ぜひ見ていただきたい」と力を込める。

『劇場版 アーヤと魔女』 ©︎ 2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

「コンピュータでアニメーションをつくっているというと、ひどく手仕事から遠いやり方をしているんじゃないかと思われがちなんですよね。勝手にコンピュータがキャラクターを動かしているんじゃないかとか、コンピュータがつくってくれるんじゃないかというイメージがあるんですけど、全然そんなことはなくて。

もうコンピュータというツールを使った手仕事だという言い方ができると思うんですよ。ツールがデジタルに変わっただけで、やっていることは手書きのアニメーションと変わらないんだっていう自分の感想を、かたちとして残しておきたかったので、このような展示にしました」

会場風景より
会場風景より

ジブリパークの制作過程とその裏側

宮崎はジブリの世界をどのように描き、考え、つくっているのか。第4章ではジブリパークの貴重な制作資料や試作品の展示を通し、ジブリパークの内部へと迫る。

会場風景より、「ジブリの大倉庫」鳥瞰図(宮崎吾朗:画)
会場風景より
会場風景より
会場風景より、ハウルの城1/50サイズの模型

「30年以上、宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫らが、たくさんの映画をつくってきたわけですよね。彼らが亡くなったあと、まだ生きていますけど、それらの作品が消えていってしまうっていうことが、とても残念だなと思ってまして。

消えていかないように、みんなに忘れられないようにするための場所みたいなものがほしいと思っていて、それがジブリパークに結びついている。

だからスタジオジブリの映画を観た方に訪れていただきたいっていうのは、もちろんなんですけど、逆にジブリパークを訪れて、それがまたジブリ映画を観るってことにつながっていってくれると嬉しいなという思いでつくっています」

会場風景
会場風景より、「ジブリのなりきり名場面展」の『千と千尋の神隠し』コーナー。カオナシと一緒に写真撮影ができる
「ジブリパークとジブリ展」公式パンフレット。このほか展覧会特設ショップには、本展限定のオリジナルグッズやスタジオジブリ作品に関するたくさんのグッズが並ぶ
「ジブリパークとジブリ展」長野会場コラボスイーツ「ジブリパークへの招待状」(コース料理のデザート)

「ジブリパークとジブリ展」は、10月10日まで長野県立美術館にて開催されたのち、愛知、熊本、兵庫、山口と全国5会場を巡回する。

スタジオジブリ作品の中核を担ってきた宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫らの仕事を間近で見てきた宮崎の歩みや思考の一端に触れることができる本展。「今回の展示の100倍や1000倍くらいのものが、ジブリパークに詰まっているんだっていうふうに思っていただいていいと思う」と宮崎が語るジブリパークに足を運ぶ前に、ぜひ訪れていただきたい場所だ。

「ジブリの大倉庫」中央階段のイメージスケッチ(宮崎吾朗:画、吉田昇:着彩、武内裕季:デジタル加筆)
「ジブリの大倉庫」イメージスケッチ(宮崎吾朗:レイアウト、武内裕季:着彩)

© Studio Ghibli © Museo d'Arte Ghibli

赤錆菜々

赤錆菜々

あかさび・なな 長野県在住フリーライター。取材記事を中心に執筆。