公開日:2022年5月3日

銀座の地下で世界の短編映画を。空音央と増渕愛子がキュレーションする「GINZAZA」が本日より開映

「ベルリン国際映画祭」短編部門の金熊賞受賞作など、国際色豊かな全10作をラインナップ。濱口竜介をゲストに招いたスペシャルトークもYouTubeで公開中

「GINZAZA」メインイメージ

ゴールデン・ウィークは、感性を刺激する短編映画をいかが?

東京・銀座の地下駐車場にあるSony Park Miniで、新たな企画がスタートする。

同スペースを席数わずか8席の小さな映画館に変え、「短編映画の遊び場」として活用するのが「GINZAZA」だ。今回は日本初上映の7作を含む10作をプログラムし、今後もシリーズ化していくそう。

Sony Park Mini

第1回目は「GINZAZA Edition 1:短編映画の可能性 The Possibilities of Short Films」と題し、短編映画の奥深さや多様性をテーマに、10作品を14日間にわたって上映。キュレーターを務めるのは、映画監督の空音央と映画キュレ―ター・翻訳家として活躍する増渕愛子だ。

空音央
増渕愛子

ジャマイカ系アメリカ人監督のキーシャ・レイ・ウィザースプーン『ティー(T)』(2019)は、2020年の「ベルリン国際映画祭」短編部門で金熊賞を受賞した注目作。自作の衣装を身にまとって死者を弔う祭り「Tボール」の準備をする人々の様子を描きだす。

映像作家で詩人の村岡由梨による『透明な私(Transparent, I am.)』(2020)は、コロナ禍のセルフポートレイト。日常の中で混乱・錯乱しながらも、雲間に差す微かな光を意地でも見逃さんとする切実な意志が胸に迫る一作だ。

キーシャ・レイ・ウィザースプーン ティー(T) 2019
村岡由梨 透明な私(Transparent, I am.) 2020

キャティー・ミトラーニ『バズキル(Buzzkill)』(2020)は、夏の南フロリダが舞台。夏の強い日差しの下、仲間たちのあいだのヒエラルキーを察しながらも、果敢にプールに飛び込んだ少女は永遠のように長い1日を体験をすることに。タイトルの「Buzzkill」とは「楽しい事柄を台無しにする人」という意味らしい。

ラファエル・マヌエルの『フィリピニャーナ(Filipiñana)』(2020)は、「ベルリン国際映画祭」短編部門で銀熊賞を受賞するなど、各国の賞を総なめにしてきた話題作。豪華絢爛なゴルフ場で働く新人スタッフのイザベルは「ルールを守れ」と厳しい監視下に置かれながらも、やがて職場での抜け道を探っていく。

キャティー・ミトラーニ バズキル(Buzzkill) 2020
ラファエル・マヌエル フィリピニャーナ(Filipiñana) 2020

デイヴィッド・ストリンドバーグとジョセフィン・マルメンによる監督デュオ・ベイビーベイビーが「とにかく見た事がないものをつくりたい」という意志で作ったのが、『フレックス(FLEX)』(2020)。16ミリフィルムとCGを駆使して、筋肉を鍛えながら「自分は本当に美しいのか?」と自問自答するボディビルダーのポートレートをシュールに描き出す。

ファム・ティエン・アン『目を覚まし、備えろ(Hãy Tỉnh Thức Và Sẵn Sàng / Stay Awake, Be Ready)』(2019)は、バイクが行き交うベトナムの夜を、なめらかに移動する13分ワンショットの長回しで撮影。なんの変哲もない街角で起こる「ありとあらゆる事」と、耳元で心地よく溶けていく音響は要チェックだ。

フェデリコ・トラド・トボン『ヨルーガ(Yoruga)』(2021)。孤独な老人が地球最後の亀・ヨルーガに会いに行くという幻想的な物語を、独特なブラックユーモアで描き出した1本だ。

ベイビーベイビー フレックス(FLEX) 2020
ファム・ティエン・アン 目を覚まし、備えろ(Hãy Tỉnh Thức Và Sẵn Sàng / Stay Awake, Be Ready 2019
フェデリコ・トラド・トボン ヨルーガ(Yoruga) 2021

会場では、フリーマガジン『ZineZaZa(ジンザザ)』(デザイン:真崎嶺、編集:井戸沼紀美)を配布するほか、会場内にある西銀座駐車場コーヒーで「GINZAZA」会期中限定のコラボコーヒー「ザザ・ブレンド」も登場。また、上映作について『ドライブ・マイ・カー』監督の濱口竜介とキュレーター2名が語り合うトーク映像もYouTubeで公開中だ。さまざまな角度・視点で短編作品の可能性に出会いたい。

「GINZAZA Edition 1:短編映画の可能性 The Possibilities of Short Films」

会期:2022年5月3日~16日
会場:Sony Park Mini(東京都中央区銀座5丁目3番1号地先 西銀座駐車場地下1階)
開館時間:8:30~19:00(月~金)、10:30~19:00(土日)
入場料:100円(税込)/1作品
月から曜は、9:00~18:00の1時間毎に1作品を上映。土日は10作品を3つのコンセプトにカテゴライズし、3〜4作品ずつを11:00/14:00/17:00の3回にて上映。入場は当日チケット制で、席数は8席。各回上映30分前に、Sony Park Miniにてチケット販売を開始。

http://ginzazafilms.com/

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