モダニズムを代表する画家のひとりであり、2015年には日本でも回顧展が開催されたフィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベック。その生誕160年を記念し、彼女の画業と人生を決定づけた1915年から23年を描いた映画『魂のまなざし』が7月15日より公開される。
ロシア帝国の支配下にあった1862年のフィンランドに生まれたシャルフベックは、封建的な世界が崩壊していく過程と歩調を合わせるように、画家として、女性として、一人の人間として自律的に生きていく。画家が50代を過ごした約8年間にフォーカスした同作では、抑圧的な母親や男性社会に臆することなく、内から湧き出る情熱に従い、どん底にあってもやがて立ち上がって背筋を伸ばし歩んでいく凛とした姿が、北欧の透明な光に輝く自然や街並みとともに美しく描かれる。ストーリーは以下(「Bunkamuraル・シネマ」作品情報より引用)。
1915年、ヘレン・シャルフベックは、高齢の母親とともに田舎で暮らす、いわば忘れられた画家だった。それでもヘレンは湧き出してくる情熱のためだけに絵を描き続けていた。
すべてが変わったのは、ある画商が訪ねてきて彼女が描き溜めていた159点のすばらしい作品を発見、大きな個展開催に向けて動き出したからだ。しかし、ヘレンの人生で最も重要な転機は、画商が紹介した19歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いによってもたらされる……。
近年はフィンランドだけでなく世界各地で人気の高まるシャルフベック。生誕160年という稀な機会に、彼女の創作の一端に触れられる一本だ。
魂のまなざし
7月15日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
監督:アンティ・ヨキネン
出演:ラウラ・ビルン ヨハンネス・ホロパイネン クリスタ・コソネン エーロ・アホ ピルッコ・サイシオ ヤルッコ・ラフティ
2020年/フィンランド・エストニア/122分/原題:HELENE/字幕:林かんな
©︎ Finland Cinematic
配給:オンリー・ハーツ