
Playfool Installation view of a re(imitation) of Life 2024 © Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
エルメス財団のプログラム「スキル・アカデミー」による夏の企画「金属に学ぶ、五感で考える:夏のオープンクラス」が7月15日、東京都葛飾区・SKAC(SKWAT KAMEARI ART CENTRE)で開幕した。中高生を対象に今春行われたワークショップの報告展示と、4組のアーティストによるグループ展「結合」の2つのパートに分かれ、会期中の週末にはトークやワークショップが組まれている。会期は8月16日まで。


スキル・アカデミーは、自然素材に光を当て、素材にまつわるスキル(職人技術や手わざ)の伝承と拡張を目指す、エルメス財団の社会貢献プログラム。パリでは2014年の「木」を皮切りに、土、金属、布、ガラス、石と、隔年でひとつの素材を取り上げてきた。決まったアトリエは持たず、素材ごとにふさわしい場所を探しては、誰にでも開かれた講演会やワークショップから専門家向けのマスタークラスまでを開催。その実践は翌年、出版社アクト・スッドと共同編集の書籍『Savoir & Faire』シリーズに編纂される。

日本に渡ってきたのは2021年。日本では、書籍の出版に始まり、ル・フォーラムでの展覧会を経て、春・夏・秋のワークショップが展開される。木、土に続き、2025年からは「金属(メタル)」に取り組んでいる。本展はその2年目の夏の企画にあたる。まず書籍で、職人や研究者が何十年、何百年というスパンで醸成してきた「スキル」の知識を広く共有し、続いて中高生や教育に関わる人たちが、専門家とともにそれを体験する。ここで言うスキルとは、フランス語のサヴォワール・フェール、手わざのこと。ただし身体的な技能だけを指すのではなく、歴史や経験を通して養われる美意識や鑑賞の楽しみまで含んだ、人工知能にも簡単には代替されない人間の能力、と財団は位置づけている。
素材に場所を寄せるこの姿勢は、今回の会場にもよく表れている。入ってまず印象的なのが、建築用の足場板を組んだ客席だ。手がけたのは、SKACを運営するデザインスタジオDAIKEI MILLS。足場は建物が完成すれば撤去される脇役で、普段は座ることも触れることもほとんどない。身近にあるのに、身近には感じられないこの素材が、ここではトークの客席になり、ワークショップの舞台になる。開幕前の週末には、子供たちと一緒にこの空間を組み上げるプレ・ワークショップも行われた。
