公開日:2023年4月25日

藤井光のオンライン展「日本の戦争美術 1946」が4月26日から公開。戦争絵画をめぐるインスターレーション作品を解体・組み直した153点

オンラインのクラウド展覧会「日本の戦争美術 1946」展が4月26日〜5月31日に公開。

「日本の戦争美術 1946」ボックス作品

戦争美術をめぐる作品をオンラインで

アーティストの藤井光が、オンラインのクラウド展覧会「日本の戦争美術 1946」を開催する。会期は2023年4月26日10時〜5月31日未明。

2022年に東京都現代美術館で行われた「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA) 2020-2022 受賞記念展」で発表した、日本の戦争絵画をめぐるインスターレーション作品をすべて解体のうえ組み直し、ボックス&インスタレーション作品を制作。その全153点を「日本の戦争美術 1946」として公開する。

「日本の戦争美術 1946」ボックス作品

藤井は国内外の歴史的事象をリサーチし、現在の視点から迫ることで同時代の社会課題への応答を試みてきた。戦争をテーマにした作品を多く手がけており、「TCAA 2020-2022 受賞記念展」では第二次世界大戦後における絵画をめぐる議論を、アメリカ占領軍が残した公文書から考察する作品群を発表。インスタレーション作品は、美術品の運搬や展覧会で使われた廃棄物を回収し、実寸大の戦争絵画として構成したものだった。

東京都現代美術館での展示風景 写真:木奥恵三
東京都現代美術館での展示風景 写真:木奥恵三

今回オンラインで発表されるボックスは、作品証明書(上映権)、インストラクション、映像・音声作品(SDカード)、戦争絵画リスト、音声スクリプト、付票(2022年の展示で使用された)などの資料で構成される。

これらはサイト内のオンラインショップで購入可能だ。

「日本の戦争美術 1946」ボックス作品

またオンライン展では映像全編も公開する。

占領期に米国陸軍通信隊が(旧)東京都美術館で記録した戦争画アーカイヴ・フィルム全153点を藤井がデジタル顕微鏡で撮影した映像と、公文書から掘り起こした当時の米国側の音声から構成される映像作品は、戦争美術をプロパガンダとして扱うか芸術作品として扱うかといった問いをめぐる米国側の逡巡や、戦争美術の多義性を示唆するもの。

本展に関して、藤井は以下のステートメントを寄せている。

世界を冷戦が分断していく1946年、米国占領軍は日本の非軍事化に併せて、第二次世界大戦中の日本軍によるアジア侵攻を主題とした絵画を接収していきます。後年、東京国立近代美術館に収蔵される日本最大級の戦争画コレクションとなる作品群は、戦争を美的な現象として宣伝するプロパガンダなのか、あるいは美術的価値のある芸術作品なのか、敗戦国の戦争美術に生じる多義性を前に米国は迷います。本作は、占領期に米国陸軍通信隊が(旧)東京都美術館で記録した戦争画アーカイヴ・フィルム全153点を私が改めてデジタル顕微鏡で撮影した映像作品と、当時の米国側の逡巡を公文書から掘り起こした音声作品から構成されています。正体のつかめない戦争画を過去から召喚し、米国の視線をなぞらえ戦争機械となった芸術家たちの狂喜の筆跡を反復することで、第二次世界大戦、アジアを再び戦場化させていく冷戦、その歴史に連なる進行中の戦争をとらえようとする試みです。継続された戦争はいつ終わるのか。その終わりを未だ知らない人間の未来に正体不明の戦争画をつなぎます。

日本の戦争美術 1946
日時:2023年4月26日 10時〜5月31日 未明
会場(URL):https://www.hikarufujii. online/

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