公開日:2026年5月22日

風景ではなく、“視線”を描く。歌川広重「名所江戸百景」最後の挑戦(太田記念美術館)レポート

シリーズ全120点が8年ぶりに一挙公開。太田記念美術館で開催中

会場風景

歌川広重による「名所江戸百景」は機会があればぜひ見たい、浮世絵のなかでも有名なシリーズのひとつ。今回、そのシリーズ全120点が8年ぶりに一挙公開される「歌川広重『名所江戸百景』 最後の挑戦」太田記念美術館で開催中だ。会期は6月14日まで(前・後期の展示替えあり)。

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「都市をどう切り取るか」という挑戦

広重が「名所江戸百景」を手がけたのは、数え年60歳を過ぎてからの晩年。亡くなるまでの約3年間を費やし、一部は死後に刊行された。 完成された巨匠の円熟というより、本展から伝わってくるのは、最後まで新しい表現を試み続けた執念に近い。

会場をぐるりと一周して感じたのは、この作品群はたんなる「江戸名所案内」ではないということ。橋は途中で切断され、巨大な船頭の腕が視界を横切る。 窓辺の猫は外を覗き込み、馬の胴体が画面の半分を占める。そこにあるのは、美しい風景を整然と見せる視線ではなく、「都市をどう切り取るか」という視覚そのものへの挑戦だったのではないだろうか.。写真家のような眼差しだ。

会場風景
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