公開日:2024年3月1日

中里唯馬が衣装、塩田千春が舞台芸術を手がけたオペラ「イドメネオ」がスイスで世界初演。中里は総勢200体以上の衣装をデザイン

「海」を赤い糸で表現する塩田千春の世界観と、YUIMA NAKAZATOの衣装が響き合う。ジュネーヴで上演後、アムステルダムとルクセンブルクを巡回予定。

ジュネーヴ大劇場 「イドメネオ」 上演の様子

スイスジュネーヴ大劇場(Grand Théâtre de Genève)で、モーツァルトのオペラ「イドメネオ」が初演を迎えた。ジュネーブ劇場バレエ部門監督である振付家シディ・ラルビ・シェルカウイが演出する本作は、衣装を日本から唯一パリのオートクチュール・ウィークに参加するファッションブランドYUIMA NAKAZATO中里唯馬、舞台芸術をアーティストの塩田千春が手がけている。

中里は、自身のブランドのスタイルを投影させながら、総勢200体以上をデザイン。古典作品に新たな息吹を吹き込んだ。制作に先立ち、舞台であるエーゲ海のクレタ島を訪れた中里は、現地の遺跡や自然、出土した甲冑などの資料を通して、深い知識とインスピレーションを培った。1年以上にわたり、ストーリー、新解釈、コンセプト、シンボル、登場人物の心理的状態をどう表現するか、模索をしてきた。

中里唯馬による衣装のデザイン画

舞台芸術には、塩田千春の世界観が色濃く反映されており、物語の舞台となる「海」が赤い糸で表現されている。これに伴い、中里の衣装も神官などの海とのつながりが強い登場人物を赤を基調とした服装で表現。舞台装置に登場する赤い縄は衣装デザインにも組み込まれ、塩田千春の世界観と互いに強く連動している。

シェルカウイと私は、ファッション界のアーティストやデザイナーが参加する幾多のオペラやダンスの作品に取り組んできました。日本人ビジュアルアーティストの塩田千春の舞台芸術と、ユニークなアプローチとビジョンを持った中里唯馬のデザインをプロジェクトに迎えられることを嬉しく思います。 モーツァルトの「イドメネオ」の新演出は、まさに日本独特の雰囲気を示すものになるでしょう。(ジュネーブ大劇場総監督、アビエル・カーン氏によるコメント)

演出を務めるシディ・ラルビ・シェルカウイは、2014年11月18日ベルギー国王から爵位Commander of Ordersの名誉称号を授受。日本での活動は、2012年にイギリス×日本×ベルギーの国際共同制作で森山未來とコラボレーションしたダンス作品「テヅカTeZukA」(2012)や「プルートゥ PLUTO」(2015)の演出・振付を手がけた。

中里によるジュネーヴ大劇場での衣装制作は2回目、シェルカウイとのコラボレーションは3回目。塩田と中里は今回初めての共同制作になる。公演は、3月2日まで6回にわたりジュネーヴ大劇場で上演された後、アムステルダムとルクセンブルクを巡回する。

イドメネオ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲オペラ
会期:2月21日~3月2日
会場:ジュネーヴ大劇場 Grand Théâtre de Genève
(Boulevard du Théâtre 11, CH-1204 Genève)
HP:https://www.gtg.ch/en/2023-2024-season/idomeneo-re-di-creta/
演出:シディ・ラルビ・シェルカウイ
音楽監督:レオナルド・ガルシア・アラルコン
衣裳:中里唯馬
舞台美術:塩田千春
ドラマトゥルギー:シモン・ハタブ

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