建築家の磯崎新が2022年12月28日午前10時半、老衰のため那覇市の自宅で亡くなった。享年91。
磯崎は1931年大分県生まれ。54年に東京大学工学部建築学科を卒業したあと、丹下健三研究室に加わり、東京湾上に都市空間を延伸する「東京計画1960」のプロジェクトなどに参加。63年に自身のアトリエを設立して以降は、初期代表作である大分県立大分図書館(現在の大分市アートプラザ、1966)、大阪万博のお祭り広場の装置設計(1970)、バルセロナオリンピック競技場(パラウ・サン・ジョルディ、1990)など世界各地で建築や都市設計に携わった。また群馬県立近代美術館(1974)、利賀村野外劇場(1982)、ザ・パラディアム(1985)、ロサンゼルス現代美術館(1986)、ハラ・ミュージアム・アーク(1988)、水戸芸術館(1990)、アニッシュ・カプーアと協働したアーク・ノヴァ(2011)など、劇場や美術館の設計も多数手がけた。近年は中国での大規模な都市計画も手がけていた。
『空間へ』『建築の解体』『建築の修辞』(すべて美術出版社刊)などの著作でも知られるほか、「海市 ー もう一つのユートピア」(NTTインターコミュニケーションセンター[ICC]、1997)、「磯崎新 都市ソラリス」(NTTインターコミュニケーションセンター[ICC]、2013)などの展覧会企画も手がけ、建築を軸とした芸術総体へのヴィジョンを示し続けた。
96年にはヴェネチア・ビエンナーレ建築展で金獅子賞を受賞。2019年にはプリツカー賞を受賞した。