「PAINTINGS AND BANALITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)会場風景(2026) © Jeff Koons Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris Photo: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
ジェフ・クーンズの評価は、「する」「しない」の真っ二つに分かれる。支持者と不支持者は分断され、互いに互いを罵り合う。昨今の政治状況を見るかのようだ。
不支持者の主張は明快である。キッチュ、凡庸、チャイルディッシュ、悪趣味、露悪的、ポルノグラフィック、大衆迎合的にして富裕層迎合的、中身がない、オリジナリティがない……。ウォール・ストリートで株式ブローカーとして働いていた経歴、ポルノ女優にして政治家でもあったラ・チッチョリーナことシュターッレル・イロナとの結婚と離婚、当時のレートで約100億円という《Rabbit》(1986。本展には出品されていない)の法外な落札価格などが、反クーンズ派の悪感情を煽り立てている。
キッチュ以下3点の指摘はその通りだ。たとえば「PAINTINGS AND BANALITY」展には、玩具、動物、高価な装身具をモチーフにした作品が出展されている。素材は硬質磁器や金などゴージャスなもの。シリーズ名は「Banality」(陳腐)や「Celebration」(お祝い)などであり、作家は恥じることなく「キッチュ、凡庸、チャイルディッシュ」路線を誇示している。

悪趣味以下の3点も同様だ。典型例は、入浴中の女性が突然現れたシュノーケルに驚いて乳房を隠すという設定の《Woman in Tub》(1988)。磁器に写実的な彩色を施したリアルサイズの裸婦像は、大きく開けた口より上の頭部がない。ありえない設定と相俟って、ポルノグラフィックというよりもコミカルな印象を受けるが、これは発表の翌年から始まるラ・チッチョリーナとの協働の先触れだろう。アーティストと元ポルノ女優は「Made in Heaven」シリーズ(1989〜91)などで、自分たちが愛を交わす姿を堂々と、写真や絵画や大型ビルボードに、磁器やガラスや大理石などの立体に作品化している。
