会場風景より、カール・ヴァルザー《歌舞伎の一場面(『壇浦兜軍記』より「阿古屋琴責」)》(1908)
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東京の玄関口に位置する東京ステーションギャラリーでは、20世紀前半のスイスで活躍した画家カール・ヴァルザーの展覧会「スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照」が、4月18日から6月21日まで開催されている。本展では、約150点におよぶ全出品作が日本初公開という、極めて貴重な機会であり、これまでほとんど紹介されることのなかったその芸術世界を包括的に体験できる。昏さと精妙な色彩が交錯する作品群は、初めて目にする者にも強い印象を残し、観客を深い思索へと誘う。


カール・ヴァルザー(1877~1943)は、20代でベルリンに渡り、革新的な芸術運動であるベルリン分離派に参加した画家である。象徴主義的な傾向を持つ彼の作品は、陰影を帯びつつ繊細な色彩に満ち、神秘的な空気を湛えている。その視覚表現はたんなる装飾性にとどまらず、見る者の内面に静かに働きかける力を持ち、同時代の芸術家たちのなかでも独自の存在感を放っていた。


ヴァルザーの生涯において特筆すべきは、日本との関係である。1908年、ドイツの小説家ベルンハルト・ケラーマンとともに来日した彼は、東京や京都など各地に滞在し、日本の風景や風俗に深く魅了された。歌舞伎や舞踊、祭礼といった伝統文化をモチーフに、多くの水彩画や油彩画を制作しており、それらは当時の日本の姿を伝える資料としても、また美術作品としても高い価値を有している。これまで公開の機会が限られていたこれらの作品が、本展では鮮やかな色彩を湛えて見る者に迫ってくる。

本展では、日本関連作品に加え、挿絵や舞台美術、壁画など多領域にわたるヴァルザーの活動も紹介されている。ヴァルザーの表現は単一のジャンルに収まるものではなく、視覚芸術と舞台、出版文化を横断する総合的な創造活動であったことが浮かび上がる。