『この世界の片隅に』(2016)、『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)、『アリーテ姫』(2001)などを手掛けるアニメーション監督・片渕須直の次回作の最新映像が公開された。
同作は、『枕草子』が描かれた平安時代の京都を舞台にした作品と言われ、2017年の制作開始以降、片渕は自身のTwitterでリサーチや制作の進捗をたびたび報告してきた。今回公開された映像は、松明が灯る様子をとらえた実写映像が次第にアニメーションに描き起こされるプロセスからスタートする。『この世界の片隅に』では、現地取材や文献調査などの綿密なリサーチから得られた具体性が、作品のリアリティだけでなく、作品の軸となるテーマの強度も高めていった印象だが、新作でも同様の姿勢は一貫している様子。
同作の紹介映像はすでに第1弾と第2弾が公開されており、後者では作品で描かれる10世紀が、疫病によって人々が苦しめられた時代であることが示唆されていた。『この世界の片隅に』が丁寧な生活描写や日常の繊細な機微を通して、時代を超えて共感されうる人々の感情や営みを観客に伝えていたことが思い出されるが、新作での片渕の新たな挑戦はいかなるものになるだろうか。
制作スタジオであるCONTRAIL(コントレール)では、第3弾紹介映像の公開にあわせて、同社での劇場作品制作や受注作品の制作に向け、動画マン(未経験者・経験者)の募集を行っている。未経験者には社内での研修制度も用意されているとのこと。関心のある人は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。制作デスク・制作進行の募集も7月15日まで実施中だ。