不思議な人型の木彫やペインティングで知られる加藤泉の個展「加藤泉ー寄生するプラモデル」展がワタリウム美術館で開催される。会期は11月6日から2023年3月12日まで。
今回の展覧会のメインとなるのは、なんとプラモデルの彫刻。パンデミック下の空いた時間に動物や昆虫のプラモデルを作っていた加藤は「これは作品に使える」とひらめき、試しに自分の木彫にそれらをくっつけてみたという。のちにプラモデルメーカーに勤める人物と出会った加藤は、プラモデルを作品化するアイデアを派生させ、石をプラモデルで作り、それに貼るデカールを絵とした新作を作り始める。ちなみにそれらを収める箱も作家自身の手によるものだ。
そんなユニークなアイデアと、それにつながる近年の加藤の活動を紹介するのが今回の展覧会だ。「もし自分の作品がプラモデルになったとしたら、どんな箱をつくりたいか」を想像しながら、リトグラフやフィギュアを使って制作した箱から展開した平面作品や、組み立て説明書をコラージュした平面作品。リボーン・アート・フェスティバルにも出品した石に絵を描いた近年のシリーズなど、新たな素材に挑戦してきた加藤の足跡を辿ることもできるだろう。