
会場風景
日本を代表する版画家・長谷川潔(1891〜1980)の回顧展「長谷川潔展 ―― パリに生きた銅版画家の軌跡」がパナソニック汐留美術館にて開幕した。会期は7月11日から9月23日まで。
本展では、フランスで半生を過ごし、失われつつあった銅版画技法「マニエール・ノワール(メゾチント)」を独自に復興させた長谷川の代表作を中心に、初期から晩年までの作品を紹介する。あわせて、長谷川に影響を与えた19世紀以前の版画や、パリで交流したマティスやデュフィら同時代の作家の作品も展示。町田市立国際版画美術館の所蔵作品を中心に130点以上で構成され、長谷川の創作の軌跡を多面的にたどる。5章構成で展開される本展は、静謐なモノクロームの世界を通して、版画芸術の奥深い魅力へと鑑賞者を誘う。
長谷川は1891年、神奈川県横浜生まれ。当時、西洋との交流の場であった横浜で、幼い頃から外国船の往来を眺めて育ち、自然と異国への憧憬を抱いた。11歳で父を、17歳で母を亡くし、独学で芸術の道へと踏み出す。序章では、長谷川の日本時代の作品や、彼に影響を与えた西洋美術を中心に展開する。
1912年頃から、詩人の友人に誘われて文芸雑誌『仮面』に表紙や挿絵を寄稿する。当初はペン画で描いていたが、納得のいく作品にならず、木版による創作をはじめた。西洋画集などを買い集め、独学で西洋の版画技法を探求するなか、長谷川は銅版画の伝統が息づくフランスに渡ることを決意する。