
ROKKO森の音ミュージアム 四季ガーデンに常設された奈良美智《PEACE HEAD》(2020)
「神戸六甲ミーツ・アート2026 beyond」が開幕した。会期は11月29日まで。2010年に始まり、今回で17回目を迎える。今年の総合ディレクターは六甲山観光 営業推進部長の山川佳乃が務め、特別出展を含む約60組が参加する。会場はROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園、六甲ケーブル下駅・山上駅、天覧台、六甲山サイレンスリゾート、バンノ山荘、六甲枝垂れ、風の教会エリアなど山上11ヶ所に広がる。今年からエリアキュレーター制が導入され、小國陽佑、高見澤清隆、堀江紀子、鷲尾英玲奈の4名が担当している。
展示は入口となる六甲ケーブル下駅から始まる。改札脇に立つ赤とピンクのだるまは、被り物作家のニシハラ☆ノリオによる造形物だ。当初は猿を作る予定だったが、ひとつの原型から2体を取る方法に変えたところ、だるまに見えてきたという。山の頂上に位置する山上駅にも親指を先祖に、その小さな片割れを未来の子供に見立てた2点のほか、エビや魚、通天閣、死神といったモチーフが並ぶ。


乗り場のモニターで流れるのは、兄弟ユニット・北園組による7分半の映像だ。六甲山を紹介するような映像は、空の風景から始まり、山荘の紹介を経て、ガイドが山上で一日を過ごす場面で終わる。芸術祭に関心のない通勤客も通る場所のため、北園組は難しい要素を省き、CMのような構成を選んだという。本来なら飛ばされたり席を外されたりするCMに、キャプションを添えて作品として展示する。そこに面白さを見出したという。


山上駅を出てすぐの天覧台には、3組の作品が並ぶ。ジュン・グエン=ハツシバ《2つの山の会話 — 葬送にて —六甲山とバヴィ山が語る—》が扱うのは、9ヶ月前まで天覧台に立っていた松の木だ。枯れて危険な状態になり、伐採が決まった。長く六甲山を見てきた木の記憶を残せないかという発想から、伐採前にドローンで撮影した影が、地面にトレースされている。影のなかには、ベトナムのバヴィ山の風景が重なる。ホーチミンの祠へ至る道筋が描き込まれており、国境を越えて同じ地球に生きているという意味が込められた。鑑賞者はスリッパに履き替え、影を踏みながら歩く。

井上涼《じーっと! つぶさに! 妖精ウォッチング》は7分のアニメーションだ。六甲妖精タウンに暮らす妖精たちの生活を、ひとりずつ観察していく構成となる。昼間の神戸の街は、井上の目には写真のように映っていたという。それが夜になると光の粒に包まれ、街の輪郭が浮かび上がった。そこに人が暮らし、歩き、車が通っていると実感できたことが制作のきっかけとなった。宮嵜浩《CELEBRATION / 借景のヴァニタス》は、神戸市内で出た瓦礫を都市の屍として食卓に並べ、眼下の街と対比させた。
