記者会見の様子。左から、末川遥菜、相原柊太、眞鍋せいら、FUNI、飯山由貴
8月26日、東京都庁会見室にて、「東京都知事に対する朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文送付再開要請および表現への検閲と歴史否定に対する抗議の記者会見」が行われた。登壇者は、眞鍋せいら(詩人・作家)、飯山由貴(アーティスト)、FUNI(ラッパー・詩人)、相原柊太(CINEMA DoDuk事務局)、末川遥菜(CINEMA DoDuk事務局)。
小池百合子東京都知事は8月7日、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に今年も追悼文を送らない意向を示した。小池都知事は2017年より追悼文送付を取りやめており、送付の見送りは今年で10年連続となる。本会見では、登壇者が追悼文送付の再開を求めるとともに、「公権力による歴史認識への不当介入・検閲」に対して抗議の意を訴えた。
登壇者のひとりであるアーティストの飯山は、2022年、関東大震災時の朝鮮人等の虐殺事件を扱った自身の映像作品《In-Mates》(2021)の東京都人権プラザでの上映が、東京都人権部によって不許可とされた。本作は昨年に大阪の国立国際美術館で開催された「プラカードのために」で、国公立の美術館においては初となる上映が行われた。
飯山は2022年当時、東京都人権部から、都知事が追悼文を送らないという立場を示したうえで、「都ではこの歴史認識に言及していない」「朝鮮人大虐殺を『事実』と発言する動画を使用することに懸念がある」などの「懸念」を表すメールが送られたという経緯をあらためて説明し、「ひとりの政治家がある歴史的事実を否定することは、この歴史に関わる人々の心身の健康と安全を脅かし、表現の萎縮や関係機関からの規制を招きます。ある暴力を行った側が、それを私たちは記憶しないと意思表示することがまかり通ってしまう社会は、差別と暴力を容認する社会にほかならないのではないでしょうか。もう10年もそれが続いてきてしまっていることに私は言葉がないです。本来決してあってはならないことだと思います」と述べ、式典への追悼文送付の再開を訴えた。
《In-Mates》に出演している在日コリアン2.5世のラッパー・詩人のFUNIは、「震災で亡くなった人と人の手で殺された人はまったく理由が違います。人の手で殺された人たちに追悼文を送らなくなったということは、虐殺という歴史的事実を否定したいのだろうと私は受け取ります」と続けた。
また詩人・作家の眞鍋は、関東大震災時に「十五円五十銭」などと言わせて人々が日本人か朝鮮人かを判別しようとしたことや、近年のヘイトスピーチの蔓延に触れ、「言葉が差別、殺人、虐殺に使われたこと、使われていることを、言葉で表現をする詩人、作家として決して容認できません。なによりひとりの人間として。差別に抵抗するのは、殺しうる/殺されうる人間として、当たり前のことです」と語った。