「青森県立美術館開館20周年 / 東日本大震災15年『志賀理江子 なぬもかぬも』展」会場風景
「青森県立美術館開館20周年 / 東日本大震災15年『志賀理江子 なぬもかぬも』展」が青森県立美術館で開催されている。会期は2027年3月14日まで。
1980年生まれの志賀理江子は、身体の感覚に根ざした光と色、演劇性のある写真や映像作品で知られるアーティスト。2008年に宮城に移住した志賀は、北釜で地域のカメラマンとして活動しながらオーラル・ヒストリーの作成に取り組み、2012年までに制作した作品からなる「螺旋海岸」を発表した。本展は、せんだいメディアテークで開催された同名展覧会以来、東北で2度目の個展となり、作家にとって過去最大規模のものとなる。担当学芸員は、青森県立美術館の奥脇嵩大。
「これまでの作品を寄せ集めた展覧会にするのではなく、いま私がここでどのように生かされているのかを強く反映するものにしたいと、奥脇さんと話し合いながら、一つ一つ手で作った展覧会になっている」と志賀は話す。テーマの根底には、震災以降一貫して問い続けてきた「復興とは何か」という問いがある。
会場は、6つの展示室で展開される作品群がそれぞれに絡み合い、呼吸し、動き続ける「生命体」のような展示として構成されている。その主役となるのは、架空の人物「褜男(えなお)」だ。志賀の住む石巻を含む三陸の一部地域には、首にへその緒が絡まって生まれてきた子供の名に「褜」の字をつける慣習があった。「褜男」は、作家自身が強く共鳴する存在であると同時に、様々な人の人生が絡み合った命の集合体でもある。「いま自分を生かしているものは凄まじく絡み合っている、という意味もある」と志賀は言う。