
大賞を受賞したジョンジン・パク《Strata of Illusion》(2025)
スペイン発のラグジュアリーブランド「LOEWE(ロエベ)」は、「LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2026」の受賞者を発表。大賞には、韓国出身の陶芸家ジョンジン・パク(Jongjin Park)が選出された。

受賞作となった《Strata of Illusion》(2025)は、紙に色付きの磁器スリップを重ねた何千枚もの層によって構築された、椅子のようなフォルムを持つ作品。焼成時に内部の紙が燃え尽きることで構造が崩れ、熱と重力によって形状が歪みながら最終的な姿へと変化する。審査員団は、「陶芸という素材に対する既成概念を覆す作品」である点を高く評価した。

審査では、技術力、革新性、芸術的ビジョンが重視され、作品に宿る「プロセス」「リスク」「素材のふるまい」が、LOEWE FOUNDATION Craft Prizeの精神を体現していると評された。ジョンジン・パクには賞金5万ユーロが授与される。
今年はあわせて2組がスペシャルメンション(特別賞)を受賞した。
1組目は、ガーナの職人集団「Baba Tree Master Weavers」とスペイン人デザイナー、アルバロ・カタラン・デ・オコンによる《Frafra Tapestry》(2024)。ガーナ・グルンシ地方の伝統的な村落を航空写真から再構成し、象草を用いた伝統的な編み技法で制作された大型タペストリーだ。審査員は、現代技術と祖先伝来の織り技術を融合させた点を評価した。

もう1組は、イタリアのジュエリー作家グラツィアーノ・ヴィジンティン。《Collier》(2025)は、古代金工技法「ニエロ」を用いた金製ネックレスで、微細なキューブ状パーツを連ねた作品。審査員は、伝統技法を現代ジュエリーへと昇華した表現力を称賛した。

今年のCraft Prizeには、133の国と地域から5100点以上の応募が集まった。そのなかから選出された30作品は、5月13日から6月14日まで、シンガポールのナショナル・ギャラリー・シンガポールで展示中だ。

今年は、陶芸、木工、ガラス、ジュエリー、テキスタイル、漆工など、多様なクラフト表現が集結。選考では「均衡」「不安定さ」「緊張感」といったテーマが浮かび上がったという。
LOEWE FOUNDATION代表のシーラ・ロエベは、「今年はこれまででもっとも審査が難しかった」とコメント。「クラフトの未来の可能性について深く議論する機会となった」と語った。
LOEWE FOUNDATION Craft Prizeは、ロエベ財団が2016年に創設した国際的なクラフトアワード。1846年に工房としてスタートしたロエベのクラフトマンシップの歴史を背景に、現代クラフトにおける革新性と芸術性を称えることを目的としている。
