公開日:2026年1月6日

ルーヴル美術館、1月14日から入館料値上げへ。 過密と老朽化に直面する世界最大級美術館

世界で最も来館者の多い美術館、ルーヴル美術館が入館料の値上げを発表。

ルーヴル美術館 外観 By Benh LIEU SONG (Flickr) - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10213567

欧州経済領域(EEA)圏外からの訪問者の入場料を45%値上げ

フランス・パリのルーヴル美術館は、1月14日から、欧州経済領域(EEA)圏外からの来館者を対象に入館料を値上げする。現在22ユーロの一般入館料は32ユーロへと改定され、値上げ幅は約45%にのぼり、日本円ではおよそ4000円から5800円となる。いっぽう、EU加盟国に加え、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインを含むEEA圏内の来館者は、今回の値上げの対象外とされている。

この価格改定により、美術館は年間1500万〜2000万ユーロ規模の増収を見込んでおり、老朽化した施設の修復やインフラ更新を含む大規模改修計画に充てる方針だ。ルーヴル美術館では、2024年1月にも全来館者を対象とした入館料の引き上げが実施されており、運営体制の見直しに伴う段階的な価格改定が続いている。

老朽化と警備不安。《モナ・リザ》専用展示室を設営へ

値上げの背景には、施設運営をめぐる深刻な問題がある。2025年10月には、建設作業員を装った犯行グループが館内に侵入し、約8800万ユーロ相当の宝飾品を盗み出す事件が発生。事件後の調査で、不十分な警備体制や老朽化したインフラの実態が明らかになった。同年には、混雑や労働環境、安全面への懸念から職員によるストライキが相次ぎ、11月には漏水事故によって学術資料が損傷するなど、老朽化は具体的なリスクとして表面化している。

また、《モナ・リザ》の展示室周辺では、恒常的な混雑が発生している。年間およそ900万人が訪れる館内で、多くの来館者がこの作品を目指すことで行列が常態化し、猛暑など気候変動の影響も相まって、館内の動線は限界に近づいている。こうした状況を受け、改修計画では《モナ・リザ》を新しい展示室に移設し、セーヌ川沿いに専用の入り口を設ける構想が進められている。 完成は2031年を予定している。

広がる「二重価格」の動き

今回の値上げは、ルーヴル美術館単体の判断にとどまらない。ベルサイユ宮殿やパリ・オペラ座など、フランス各地の文化施設でも、EEA圏外の来館者を対象とした価格改定が進められており、文化財を維持するための新たな財源確保が課題となっている。いっぽう、文化への普遍的なアクセスという理念との緊張関係を指摘する声もあり、議論は続いている。

1月14日から始まる入館料の値上げは、こうした課題が表面化した結果であり、世界最大級の美術館が「守るために変わる」局面に立っていることを示している。ルーヴル美術館の選択は、オーバーツーリズム時代における文化施設のあり方を問いかけるものとなりそうだ。

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