公開日:2025年11月25日

「マチュピチュ展」(森アーツセンターギャラリー)レポート。黄金に輝く展示物や神話的世界への誘いで古代アンデス文明を体感

六本木・森アーツセンターギャラリーで、11月22日〜2026年3月1日に開催。130点の貴重な文化財が東京にやってきた

アイ・アパエックの顔を表現した葬送用仮面 紀元後100-800 ラルコ博物館所蔵

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ペルー政府公認、130点の文化財が六本木に

六本木・森アーツセンターギャラリーで、国内13年ぶりとなる「マチュピチュ展」が開催される。会期は11月22日〜2026年3月1日。主催は「ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」などを手がけたNEON JAPAN株式会社。

本展は2021年からアメリカ・ボカラトン美術館での開催を皮切りに、世界各地で高い評価を得ている巡回展。今回はアジア初開催として日本に上陸する。

マチュピチュ関連の展覧会が日本で行われるのは、2012年「インカ帝国展 - マチュピチュ『発見』100年」(国立科学博物館)以来、国内では13年ぶり。ペルーの首都・リマにあり、世界的にも有名な考古学博物館「ラルコ博物館」より貸与された、国外初公開を含む貴重な文化財約130点を展示。王族の墓から出土した黄金の装飾品や、神殿儀式で用いられた祭具など、古代アンデス文明の造形美を間近に感じることができる。

会場風景
会場風景

「イントロシアター」では、巨大スクリーンにアンデスの大自然と天空都市マチュピチュが映し出される。神話の英雄“アイ・アパエック”の登場とともに、展覧会が展開するストーリーへと来場者を誘う。

アイ・アパエックの顔を表現した葬送用仮面 紀元後100-800 ラルコ博物館所蔵

アイ・アパエックは、紀元前後から700年頃まで繁栄したインカに先行するプレ・インカと呼ばれる高度な文化のひとつである「モチェ文化」の主神であり、罰を与える神のひとりとして畏れられ崇められていた。その姿を模ったものとして有名なのが、ペルー、トルヒーリョの月神殿(ワカ・デ・ラ・ルナ)にある、アイ・アパエックの顔を表現した彩色壁彫刻だ。

会場風景

続く「アンデス世界」では、アンデスの人々が信じていた宇宙観、すなわち天空「ハナン・パチャ」、現実世界「カイ・パチャ」、地下「ウカ・パチャ」という3層に重なる世界構造について紹介。

また動物の力を借りて異界を自在に行き来するシャーマン(霊的な媒介者)の存在に迫る展示からは、アンデス独自の精神文化を見てとることができる。たとえば支配階級の人々は猛獣と考えられていた大型ネコ科動物の特徴を取り入れて描かれたり、夜に活動するフクロウは天空の世界とうちなる世界との間を結ぶ存在と考えられたりしていた。

会場風景
会場風景
会場風景より、「ネコ科動物」(紀元後100-800、ラルコ博物館所蔵)

ここで展示される「階段文様と半渦巻きのシンボル」は、今回の巡回で初めてペルー国外で展示された作品で、とても貴重だ。

会場風景より、左下が「階段文様と半渦巻きのシンボル」(紀元後100- 800、ラルコ博物館所蔵)
会場風景より、「祖先的存在間の性交」、「祖先的存在間の自慰」(ともに紀元前500-紀元後300、ラルコ博物館所蔵)
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