公開日:2026年11月5日

解いて、紡いで、未来へ。「メゾン マルジェラ トウキョウ」の20年を結ぶ記憶の糸。鈴木美緒「Unravelled Memory, Rewoven Future」レポート

「メゾン マルジェラ トウキョウ」の20周年にあわせ、鈴木美緒がフランスのタペストリー工房と協働したインスタレーションを発表

会場風景より、入り口に展示された鈴木美緒「Unravelled Memory, Rewoven Future」

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舞台は20周年を迎えた「メゾン マルジェラ トウキョウ」。「Line 2」第2弾が始動

東京・恵比寿の「メゾン マルジェラ トウキョウ」で、アーティストの鈴木美緒によるインスタレーション「Unravelled Memory, Rewoven Future」が11月5日から15日まで公開されている。

鈴木はフランスの歴史あるタペストリー工房「Les Manufactures Nationales – Sèvres & Mobilier National」と協働し、工房やパリの蚤の市で集められたヴィンテージのタペストリー、またこのプロジェクトのために作成されたタペストリーを解いて、その糸や布の断片から店内に広がるテキスタイル作品を作り上げた。現在の場所に移転してから今年で20年を迎えた店舗を舞台に、タペストリーが重ねてきた歴史と、メゾンが恵比寿で刻んできた時間が、ひとつの作品のなかで交わる。

会場風景より。店舗に足を踏み入れてまず目に入るのは、メゾンのタグをイメージしたという作品。両腕を広げるようにして来場者を迎える

本展は、メゾン マルジェラのプロジェクト「Line 2」の第2弾にあたる。メゾンは1997年からプロダクトのカテゴリーを数字で分類しており、「Line 2」はそのシステムに新しく加わった枠として、思いがけない組み合わせから創作を生むことをねらいに、インスタレーションのほか、トークイベントやキャンペーンなど、形式を限らずに展開されている。第1弾の「Elsewhere, Rhema, Open Torso」は2025年9月に韓国の旗艦店で発表され、ヴィジュアル・アーティストのヒーミン・チョンとサウンドデザイナーのジョユルが、来場者も体験に加わる立体と音響の作品を手がけた。

第2弾の起点になったのは、タペストリーという素材だ。メゾン マルジェラには、ヴィンテージやアンティークをアトリエの手仕事によって再構築する「アーティザナル」というオート・クチュールコレクションがあり、メゾンの創作の核をなしている。クリエイティブ・ディレクターのグレン・マーティンスは、2025年のアーティザナル・コレクションと2026年秋冬コレクションで、ヴィンテージのタペストリーを解体し、ガーメントへと昇華した。その試みを受けて、メゾンは美術史家の長谷川祐子の助言のもと、東京を拠点に活動する鈴木をプロジェクトに迎え入れた。

2026年秋冬コレクションルック
鈴木美緒

協働した「Les Manufactures Nationales – Sèvres & Mobilier National」は、17世紀にルイ14世のもとで創設された文化機関で、現在も1500点以上のタペストリーを収蔵しながら、フランス内外の作家と新しい織物を作り続けている。

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