公開日:2023年9月11日

印象派の代表者、モネの連作絵画に焦点を当てる。上野の森美術館で、展覧会「モネ 連作の情景」が10月20日スタート

日本初公開の大作《昼食》を中心とした「印象派以前」の作品も。東京展は10月20日~2024年1月28日、大阪展は2024年2月10日〜5月6日

睡蓮の池 1918頃 キャンバスに油彩 131.0×197.0cm ハッソ・プラットナー・コレクション © Hasso Plattner Collection

〈積みわら〉や〈睡蓮〉などの多彩なモティーフの「連作」など、展示作品のすべてがモネ!

印象派の誕生(1874)から150年を迎える節目の展覧会となる、「モネ 連作の情景」が、2023年10月20日から上野の森美術館で開催される。東京と大阪を会場に国内外のモネの代表作60点以上(※)が一堂に会する。東京展に続き大阪展は、大阪中之島美術館で2024年2月10日からとなる。
※東京展、大阪展で出品作品が一部異なる

睡蓮 1897-98頃 キャンバスに油彩 66.0×104.1cm ロサンゼルス・カウンティ美術館 Los Angeles County Museum of Art, Mrs. Fred Hathaway Bixby Bequest, M.62.8.13, photo © Museum Associates/LACMA
睡蓮の池 1918頃 キャンバスに油彩 131.0×197.0cm ハッソ・プラットナー・コレクション © Hasso Plattner Collection

クロード・モネの86年にわたる生涯は
いくつかの伝説に彩られています。
なかでも印象派の創始者にして代表者であるという伝説は
最大のものかもしれません。
技法・手法の面で有名になった伝説のひとつが「連作」です。
ー島田紀夫(本展日本側監修)コラムより

ウォータールー橋、曇り 1900 キャンバスに油彩 65.0×100.0cm ヒュー・レイン・ギャラリー Collection & image © Hugh Lane Gallery, Dublin
ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ 1904 キャンバスに油彩 65.7×101.6cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー © National Gallery of Art, Washington. Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon, 1983.1.27
ウォータールー橋、ロンドン、日没 1904 キャンバスに油彩 65.5×92.7cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー © National Gallery of Art, Washington. Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon, 1983.1.28

自然の光と色彩に対する並外れた感覚を持ち、柔らかい色使いとあたたかい光の表現を得意とし、自然の息遣いが感じられる作品を数多く残したモネ。彼が体系的に「連作」の手法を実現したのは〈積みわら〉シリーズが最初だ。今回の展示で見られる《積みわら、雪の効果》は、1891年5月に画商・デュラン=リュエルの画廊で展示された、15点の連作のうちの1点となる。

積みわら、雪の効果 1891 キャンバスに油彩 65.0×92.0cm スコットランド・ナショナル・ギャラリー © National Galleries of Scotland. Bequest of Sir Alexander Maitland 1965

「連作」の着想源のひとつには、モネが愛好した浮世絵の影響も指摘されている。モネは歌川広重(1797〜1858)の『東都名所』などを所蔵しており、連なる風景表現の新たな可能性を見出したのかもしれない。

昼食 1868-69 キャンバスに油彩 231.5×151.5cm シュテーデル美術館 © Städel Museum, Frankfurt am Main

展示では、海外30館以上を含む、国内外40館以上から集められた代表作を堪能できる貴重な機会となる。モネが同じ場所やテーマに注目し、異なる天候、異なる時間、異なる季節を通して一瞬の表情や風の動き、時の移り変わりをカンヴァスに写し取った「連作」。モネの画家としての芸術的精神を感じてみたい。

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。