印象派の誕生(1874)から150年を迎える節目の展覧会となる、「モネ 連作の情景」が、2023年10月20日から上野の森美術館で開催される。東京と大阪を会場に国内外のモネの代表作60点以上(※)が一堂に会する。東京展に続き大阪展は、大阪中之島美術館で2024年2月10日からとなる。
※東京展、大阪展で出品作品が一部異なる
クロード・モネの86年にわたる生涯は
いくつかの伝説に彩られています。
なかでも印象派の創始者にして代表者であるという伝説は
最大のものかもしれません。
技法・手法の面で有名になった伝説のひとつが「連作」です。
ー島田紀夫(本展日本側監修)コラムより
自然の光と色彩に対する並外れた感覚を持ち、柔らかい色使いとあたたかい光の表現を得意とし、自然の息遣いが感じられる作品を数多く残したモネ。彼が体系的に「連作」の手法を実現したのは〈積みわら〉シリーズが最初だ。今回の展示で見られる《積みわら、雪の効果》は、1891年5月に画商・デュラン=リュエルの画廊で展示された、15点の連作のうちの1点となる。
「連作」の着想源のひとつには、モネが愛好した浮世絵の影響も指摘されている。モネは歌川広重(1797〜1858)の『東都名所』などを所蔵しており、連なる風景表現の新たな可能性を見出したのかもしれない。
展示では、海外30館以上を含む、国内外40館以上から集められた代表作を堪能できる貴重な機会となる。モネが同じ場所やテーマに注目し、異なる天候、異なる時間、異なる季節を通して一瞬の表情や風の動き、時の移り変わりをカンヴァスに写し取った「連作」。モネの画家としての芸術的精神を感じてみたい。