
『まさゆめ』 © WHITE LEOTARDS
映像作家・ダンサーの吉開菜央の監督作『まさゆめ』が、8月28日からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次公開される。
1987年⼭⼝県⽣まれの吉開は、世界を五感で理解しようとする際に⼼と⾝体に起こる変化を「踊り」ととらえ、その感覚を軸に映画・映像やパフォーマンス作品に携わっている。これまでの監督作としては、⽂化庁メディア芸術祭エンターテインメント部⾨新⼈賞を受賞した『ほったまるびより』(2015)をはじめ、『Grand Bouquet』(2019)、『Shari』(2022)などがある。展覧会にも多数参加し、9月19日に開幕する「第一回前橋国際芸術祭2026」では、新作の短編作品『⾵呼び』を公開する予定だ。

最新劇場公開作となる『まさゆめ』は、個⼈的な体験をきっかけに、自分自身にカメラを向け、「⽣きること」とは何かを⼼と⾝体で探求したドキュメンタリー映画。吉開は34歳のときに心と身体のバランスを崩し、それに続くように母を突然亡くしてしまう。その後、訪れた禅寺で「意識が作り出す感情はすべて夢である」と教わり、⾷べることや呼吸といった⾝体の根源に⽴ち返り、また野⼝体操の思想にも影響を受け、生きることをとらえ直していく。
親の死や自身の病に直面したことから、作家が世界と対話する方法をもう一度編み出してく様を、身体表現や写真、アニメーション、8mmフィルム、ホームビデオといった様々な映像的手法を積み重ねて映し出し、セルフ・ドキュメンタリーの枠を超えた長編映画として完成させた。


本作では、禅寺での修⾏のシーン、雪の降る真冬の秋吉台の草原などの鍵となるシーンの撮影を、吉開が主演した映画『Underground アンダーグラウンド』の監督である⼩⽥⾹が担当。音響設計は、初期作『ほったまるびより』から吉開監督作品の⾳をデザインしてきた北⽥雅也が手がけた。映画は「76回ベルリン国際映画祭」フォーラム部⾨で初上映を迎え、同映画祭の部⾨を超えて選出される「ベルリナーレ・ドキュメンタリー・アワード」の16作品に選出された。

映像作家・アーティストの山城知佳子は、本作について「人は死を理解することはできなくても、その存在に向き合うことはできる。映画という夢を通して、人生に訪れる喪失を、身体の時間のなかで受け入れていく。食べること、眠ること、呼吸をすること。その何気ない生の営みは、失われたものを抱きしめながら、生き続けるための力へと少しずつ変わっていく。静かで誠実な祈りのような映画だった」とのコメントを寄せている。
なおBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下では、公開期間中、吉開による舞台挨拶のほか、行動学者の細馬宏通、映像作家の小森はるかとのトークも予定している。
『まさゆめ』
8月28日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
監督・出演・編集:吉開菜央
振付:関かおり
撮影:小田香、吉開菜央
音響:北田雅也
配給:ホワイトレオターズ
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